コンビニのサンドイッチに挟まれた、うっすーいレタス。 味も定かでない、その薄いレタスが、私には今回の家探しによく重なる。
不幸な日々は、ハムチーズとパン。 その中に垣間見える幸せは、薄いレタス。 苦しいニュージーランド生活の毎日にうめきや悲しみは満ちていたけれど、慰めや喜びも微かにあった。 細かいことを、取り上げればキリがない。 後半のエピソードは省略するが、先週も朝になって、今夜泊まる家がない状態に再び襲われた。 「車中で寝ればいいよ」と腹をくくった時、スマホを触り続けていると、誤って私に予約完了の通知が来て、泊るつもりのない家が手配され、5泊した。(※そこは、主人が、この家だけは泊まりたくない、と考えた場所だった) 1月からの滞在履歴を振り返る。 ①主人の友人宅(悲劇の始まり) ②オークランド郊外プケコヘの家(東京でいう伊豆みたいなとこ) ③エヴァとジョンの家(地獄ふたたび) ④オークランド空港近くの家(寒さで主人と娘がダウン) ⑤グレンイネスのホテル(最上級の部屋と台風) ⑥セントジョーンズの平屋(泊るつもりのなかった家) 娘は最後の方になると、朝、「今、自分はどこにいるのか分からない」と起きてきた。 移動の度に、スーツケースを抱えて荷ほどきし、荷造りしては車に乗る生活を、娘はどのように感じただろうか。 彼女もよく、ついてきてくれた。 このたびの苦しみについて、私の学びを一つあげる。それは、コレ。 「神様は私たち人間を、徹底的に、限界まで、あなたの力の限り、頑張らせる 」 信仰があれば、祈っていれば、穏やかな生活になるはず、と思っていた。 「ニュージーランドに行ったら暇だよ~」と夫に言われて、日本から書籍をたくさん持ってきた。どれも、この生活では重荷でしかなかった。 以前、ニワトリが卵を産む話を書いた。 私はその時、私の脳裏に浮かぶ「小さな家」が必ず与えられる、という強い確信に満ちていた。 だから、大喜びした。 けれど、実際には、その家は与えられなかった。 わが家と同じ留学生の親子が長期滞在だから、と契約が成立し、私たちはその知らせを悲しく聞いた。 だけど。
Are you ready?
さあ、今の住まいをお見せしましょう!!!
※これはイメージです
23年2月21日、私たちに「完璧な一軒家」がついに与えられた。 Airbnbの家じゃない。 海まで徒歩3分(計算外)の、4LDK、家具付きの一軒家。 娘の学校まで徒歩20分、車なら4分。娘の個室、夫婦の寝室、主人の仕事部屋までついている。 ああ、これはいったい、なんということだろう。 家具付きの一軒家が、短期移住なのに、オークランド洪水で家屋は不足気味なのに、とうとう与えられたのである。 私は初日、怖くて怖くてたまらなかった。 どうしよう、また何かある気がする。 怖い。 まだ心臓がドキドキするの。 ちょっとお茶を飲みましょう。
そして、一つづつ、一つづつ、新しいことをしましょう。 ガスのつけ方、洗濯機の使い方、新しいことを覚えるのに、まだ脳が追いつかないから。
今日は食事は作らないわ。
主人にそう言って、初日は大きな家で静かに寝た。 2月23日、天気は晴れ。 私の心も、まだ不安はあるが、確かに晴れている。
「そりゃいい!すべての栄光を神に返せ!」と私に言ったニュージーランドの友人と、神様へ。 私は今、すべてのご栄光をあなたにお返しします。 by桜子