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sakurako について

Sakurako,a business working woman who live in Shibuya,Tokyo.

Season2:ニュージーランドの家探し~短期移住6

2月1日。
1月に同居生活で経験したトラウマか、エヴァの家に暮らし始めても、私の心は落ち着かなかった。

ジョジョの奇妙な冒険ならぬ、わが家の奇妙な冒険fromニュージーランド



娘が、「ママが自殺する夢を見た」と言った。

私は、そんな夢を見させてごめんね、と謝った。
まだ、死なない。まだ死ねないし。

でも、頭の中では何度か、そういう思考が頭を遮った。
私さえ死ねば、万事うまくいくのかな、と考えた。
愚かだと十分わかっている。
でも、そうすることが幸せにつながるような気がした。


いつも怒っている主人の友達や、
イライラするエヴァは、
私が死んだら何かがスッキリするのかな。
それで、死んだら、怒らなくなるのかな、と考えては消え、考えては消えてった。


そういうわけで、エヴァの家でも、私は大変慎重にして暮らすのだが、私はまたもや、失敗を一つする。

この家は、エヴァとジョンがお互いに農場の家を行き来し、交互に管理していた。
エヴァの日が2日続くと、次にジョンがやって来た。

ジョンは口笛を吹いて家の中を歩くような人で、私は、この人がホストを担当したんだろう、と考えた。
エヴァはハーブの畑でタバコを吸う女性だったが、ジョンは掃除機をかける人だった。
それで、ジョンの滞在中、わが娘の入学式に備え、日本米を慣れないキッチンで調理した。

その際、こちらの強い火力で鍋を焦がし、うっかり鍋を台に置いたら、その台が少し焦げてしまった。
主人はこれくらい大丈夫、と言ったが、ジョンは一生懸命こすって綺麗にし、実際の所、傷が3か所できてしまった。

その日の夜も、結局のところ、私はひどく落ち込んで眠った。

ああ、神様ってちっとも私を楽にさせてくれない。
と私はなんで自分がこのニュージーランドでこんなに苦労を強いられるのか、分からなかった。

あれもこれも、神のなさること、
と聖書にあるが、あまりにも、安らげる時間が少ない。



ああ、神様、どうしましょう、どうしましょう。
ああ、神様、助けてください、助けてください、

そうやって過ごす日々は、2月になっても続いた。
そして、夜、お布団に入るときだけが、私にとってすべてを忘れられる瞬間であった。


by桜子



追伸:こぼれ話

日本にいる人が、「よく神様に文句を言わないですね」と、私を想ってくださって、「無理しないよう、正直であれ」と助言を下さった。けれども、私はこのブログをかなり赤裸々に書いていて、不思議と神様を恨んでいない。
※今のところ

たぶんこれは、私は若い時に、たくさん天に唾を吐いて過ごしたため、神を憎むことは人にとって最大の間違い、と知っているせいだと思う。
とか言って、この先もしも、神様を憎むことや悲しませることを書いたらごめんなさい。


person using macbook pro on white table

Season2:ニュージーランドの家探し~短期移住5

<これまでのお話> 
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1月:お正月に東京からオークランドへ。主人の友人宅に滞在するも、第3週に退去。
   Airbnbでオークランド郊外へ脱出。農場とお洒落な一軒家の空間で9泊。
   31日以降の宿が見つからず、1日まであと8時間の場面で奇跡的に家を確保。

2月:滞在中(現在) 
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1月31日は、まるで映画のよう(ニュージーランドの家探し~短期移住4)に、プール付きの一軒家にたどり着いた私。これは、エヴァとジョン(60代半ばの夫婦)が、1月30日までスーパーホストとして経営していたAirbnbの部屋だった。

私がエヴァと海岸沿いで初めて会った時は、本当に映画のシーンのようだった。
車から降りる私たちと、海岸を見つめてハンドルを握ったまま、顔をこちらに向けたエヴァ。

正直に書きましょう。

オニババかと思うほど、顔が怖かった・・・・!
それもそのはず、彼女は30日まで滞在していた韓国人ゲストが予定を早めて退去し、エアビ―のトラブル真っ最中。「もうエアビ―辞めたわ!!!」という状況だった。

そんなわけで、お世辞にも優しそうにみえず、私たちに「スペシャルオファーで4月までいていい」とメールしてきた人と思えず、私はわが目を疑う気持であった。


実際、彼女は1日以降も、口を開くと文句ばかり言う女性だった。
1月もそうだったが、ここに来てまたか、の思いだった。


おまけに、彼女はもはやエアビ―を使わないと思ったせいか、私たちに多くのことを要求した。


*生ごみはコンポスト(都市ごみや下水汚泥などを発酵腐熟させた肥料)にいれて
*柑橘類以外の果物は、チキンボックス(ニワトリのエサ)にいれて
*リサイクル、その他のごみ
*お風呂のお湯を入れるときはちょっと
*食器を洗うときは洗剤を一滴だけ垂らす

私は、これ以上覚えたくない知識ばかりを頭に詰めて暮らさねばならなかった。


私はエヴァを好きになりたいと思い、彼女の顔色がいい日は、「いい顔してますね!」と言った。が、彼女は「そお?私、すごい疲れてるんだけど」と否定語を言い、いつも愚痴が多かった。



(…1月に泊めさせてくれた主人の友達とおんなじ…。)
と、私は思っていた。


by Sakurako

white ceramic coffee teacup beside silver teaspoon

Season2:NZマックの時給3000円~

今日は晴れた、ニュージーランド。
1月に来てから雨と嵐のオークランドだが、珍しく晴れた。

昨日は祝日で、今日から平日が始まる。
こっちに来てから「ニュージーランドって休んでばっかりだね」と夫とよく話している。

そういうわけで、今日は学校2日目につき、私は日本人ママとして、今日も日本製のお弁当箱へ食べ物を詰めた。
サンドイッチメインで。

左:キティちゃんジップロック = モーニングティー用の軽食。
サンドイッチ+ブルーベリーを完食したらおやつOK、と娘に話した。
チョコクッキーは、ナラティヴの国重浩一さんが娘に別れ際にくださったもの。



==小学校の時間割==

08:00- 開門
08:30-教室に入ってもいいよ、のベル
08:55-教室に入ってください、のベル
09:00-授業始めるよ、のベル
10:30- モーニングティータイム(20分間:おやつOK)
10:50-授業始まるよ、のベル
12:30‐ランチタイム(55分間:お弁当※各自持参,注文も可)
13:55‐授業始まるよ、のベル
15:00-下校


ちなみにいま、日本の給食時間って何分か知っていますか?
うちの子は、15分。おまけに全員が黒板を向いて、黙食。


これをニュージーランドに来ている日本人ママらに話したら、
「え~!!!!うそでしょっ!」
と非常に驚かれて、

本当と知ると、「日本ヤバすぎ。大丈夫?日本?」と、皆さんが嫌悪していたのには驚かされた。
それでちょっと悲しくなった。みんなも日本人だけど?
でもこちらでは、日本の常識マスクが全く一掃されていて、こちらでマスクしているのは、時たまスーパーで見かける中国人ぐらい。

こちらに来ると、日本の当たり前が、こちらの当たり前と随分異なっていることに驚く。

例えば子供の小学校も、娘が大変驚いたように、詰め込み授業と違って、かなりゆったりしている。
時間割がないのではないか、と娘は言ったが、先生が、先生のペースと、みんなの様子を見て判断しているようだ、ということだった。

同様に、ニュージーランド人らの暮らしぶりを見ていると、仕事に重きを置いているように思えず、「人生を楽しむこと」を第一として、生活の中心に楽しみがあり、その傍らに、ちょっと生活費を稼ぐ、という、いわば楽しみを鮨に例えれば、ガリが仕事、そんな感じ?

実際、金曜15時半になると道路が混み始める。
待ちに待った週末、休むぞー!とソワソワして帰り支度を始め、早く仕事を切り上げる、という話だった。

マクドナルドの店員、何もしなくても時給3000円、土日働けば時給4500円。

これが、NZの給料事情。
日本のマクドナルドの店員よりも、うんと働いてないのに(いつも空いている)月とスッポンの違い。

※先日、卵が8個で千円ぐらいとで高い!と書いたが、この時給感覚なら、高くないと言えそうだ。
ただ、それでも「ずいぶん値上がりしたよ!」と皆さんが仰っていたので、世界的な値上がり含め、間違いないのだろうけれど、それでもこちらは、物価上昇に伴って、時給も値上がりしているのだから、日本がいかにアンバランスか(給料が平行線)、私なりに考えさせられたりする。

by桜子

Season2:ニュージーランド小学校の初日

1月、苦悩続きだったわが家。(悲惨な話:ニュージーランドの家探し~短期移住4
2月、シーズン2を迎え、娘の小学校生活が始まった。

ニュージーランド北島にある大都市、オークランド。
昨今は不動産価格が高騰し、今はバブルという。
娘の小学校は、高級住宅街の地区にあるアイビーバカロレアに準じた、教育スコアの高い学校と言う。

けれども、私たち家族は、ニュージーランド短期移住のきっかけに書いた通り、
「子供の教育のために海外だ!」とか、
朝日新聞で連載中の「私が日本を捨てた理由」にある、日本脱出!の類ではなかった。
本当に、たまたま。
日本好きだし、たまたま、生活の中に、海外で暮らす、という選択肢を選んだだけ。



そういうわけで、娘に望むことはただ一つ。毎日学校へ行ってさえくれれば、それでよし。
でも、うちの子は日本の学校の「画一的な感じ」がどうも性に合わないようで、
「海外もダメなら、うちの子きっと行く学校ないね」と裏で夫と話し合っていた。


「どうする?もし、こっちで『学校行きたくなーい、涙』って言ったら?」
と、夫。
「その時は…しょうがないね…。」
と、私。

当日、娘はやはり緊張して、私たち親にそんな自分を見せたくないと思ったらしく、(早く帰って、)と合図を送り記念撮影すら、撮らせなかった。

下校時間の15時を目指し、車で娘を迎えに行くすがら、夫は言った。

「べべ(仮称:娘の名前)の感想はどうだろうねえー。第一声が『楽しかった!』だったら、うれしいなあ」


私はすぐさま、反論した。

「そんなわけないじゃん!英語、喋れないんだよ。ものすごいストレス抱えて帰ってくるよ。そんな感想、望みすぎだよ!」



だがしかし、彼女はこう言った。

「めっちゃ、楽しかった!!!」


私はわが耳を疑う。
全然写真を撮ってなかったので、今こそ写真を撮ろう、というと、夫に腕をからませ、ピースサインをしている。
この変わりよう、さていかに?


聞けば、ニュージーランドの学校で、初日ながら、「友達が7人出来た」と言う。
そして授業は、「めっちゃ、面白かった」と言う。


「英語、わからなかったでしょう?」
と聞くと、

「わからなかったこともあるけど、分かったところもあった。」
と言った。

「あのね、こっちの学校、すごいんだよ。先生が、〇〇しなさい、って言うと、みんな先生にたくさん質問したり、文句言ったりするの。それで、みんな先生に出された課題が終わると、ソファーの上でバーッと暴れる子もいれば、絵を書いたり、工作する子もいて、みんな自由なの。好きなところに座っていいの。私、楽しい!!!頑張れそう!」




そういうわけで、とりあえず、初日、無事に終わった。
私は今夜は、生クリームたっぷりのパンを食べ、リラックスして、ワインを飲んだ。


神のなさることは、時にかなって美しい。

ああ、今日は安堵が与えられ、感謝、感謝な金曜である。

by桜子




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ニュージーランドの家探し~短期移住4

ニュージーランドの家探し~短期移住3の続き。
白いワンピースを着た初老のエルは、私にとって神々しかった。


しかし、彼女が私たちに与えた部屋は、バックパッカーでもない私たち家族にはしんどかった。
そこはブラジルや、東南アジアなどの移民が住む共同フロアーであった。
でも、ともかく感謝すべきだ、と私たち夫婦は考えた。

それまで私たちは、良い家に住んでばかりだった。
だから、まずは与えられたことに感謝、と。

けれど、その後、エルは言った。
「二泊で150ドル。あとは交渉ね。それでいいか考えておいて」
私はてっきり、彼女の善意で家に泊まらせて頂くのだ、とばかり思っていたのでやや驚いた。
しかし夫は「そうなる可能性がある」と私に事前に言っていて、読みがあたった。


しつこいが、私たち夫婦は、感謝すべき、感謝すべき、と心の中で呪文のように唱えていた。

けれど、悲しいかな、本能は何か言っていた。私の心が泣いている。
私は、この家探しの過程において、実に多くの方の善意に遭う。
そして、地元の教会の週報に「日本人家族が困っている」とお願いしていないのに、取り上げられるほどになって、ぽっと出の私たちがこのような善意に遭うとは、と感動した。
が、物件においては、お会いするクリスチャン家主が、揃って、お金の話になると、いきなり、
「あら、いくらかしら?今まで考えたことなかったわ!人に部屋を貸したことがなかったから」と言って、
たとえ旦那さんが、「週300ドルもいらない」と首を振っても、奥さんは「市場相場は500だから、一泊100ドル、一週間なら泊数が多いから500」と、ビジネスウーマンになることが、同じクリスチャンとして、どうしても、私の理解に苦しむ所になった。

彼女は、私たち家族が、困っているのを知っている。
クリスチャンであることも知っている。
たった一泊でも100ドル払え、と言う所が、非常に理解に苦しむ。
わが家なら、あるいは、うちの主人なら、「お金はいらない」と言うだろう。


これからは私も、うちに泊まるなら一泊一万円ね、というべきなのかしら?
と、私は夫に思わず聞いた。

でも結局学んだことは、クリスチャンだから、ってその人は神様じゃない、ということだった。
つまり、「人を」頼ってはならぬ、と学んだ。

そして、クリスチャンとは、神様を信じている人を指すが、
一口に言っても、その人の価値観や考え方、またその信仰は異なっているわけだから、
私たちはたとえ、クリスチャンの人だといっても、無邪気に喜んではいけない、と改めて学んだ。


そういうことは、日本で、それなりに分かっているつもりだったが、
異国にいて、つい、優しくて、祈ってくれる人がいると、私などはすぐ無防備になって油断して、なんでもペラペラ喋ってしまっていた。

私は、間違いだった、と気づいた。
そうだ、人でなく、神だけに頼ろう、と改めて学んだ。
で、話を戻す。
場所は、エルに案内された私たちの小さな部屋。


ふと見ると、夫が一生懸命、スマホを触っている。
何をしているかと聞くと、
「同じお金を払うなら、もっと別の選択肢があるんじゃないの?」と言う。


それで実は私も同じ気持ちだったため、急いでパソコンを開いた。

「一つ、心あたりがあるの。私たち家族に4月まで滞在してもいい、という方が、クリスチャンじゃないけど、いるの」

その方は、Airbnbを通して、私たち家族に、スペシャルオファーの金額を提示してくれていた。
が、31日にその人の家を予約しようとすると、サイトから消えていた。

けれども、幸いだったのは、最後の最後に、Airbnbシステムでやり取りをしていたので、履歴が残っていて、メールを送ってみると、それは確かに彼女に届いていた。

それで、なぜサイトから消えたか問うと、Airbnbで嫌なことがあった、もう掲載をやめる、と書いてあった。
そして以前彼女は、私たち家族に、「一泊80ドルで泊らせたいけれど、システムを経由すると、どうしても高額になる」と嘆き、ゆえに、彼女の家に泊まれないでいたわけだが、緊急時、知恵が働く。

私たちは、互いの住所、電話番号、メールアドレスはAirbnbで伝えられなかったので、代わりにこう書いた。

「今から会えますか?〇〇ストリートの一番端に、15分後なら車で行けます」

驚いたが瞬時にレスが来た。

「オーケー」


そう、そして今、私たち家族は、住む家を見つけた。時間にして、31日16時だったか。
まさにギリギリだった。

その家には、猫5匹がいて、「猫があなたたちに慣れるまで6か月かかるわ」と玄関先で、言われた。
Airbnbでトラブルを経験したばかりの家主エヴァは、疲れた表情をして、私たちを知ることに疑心暗鬼になっているようだった。
が、猫はすぐ、私や娘の足元をスリスリしたので、彼女は私たちをOK、と認めた。

そうして私たちは、まず、お互いを知るために、1週間住んでいいことになり、泊ることになった。



が、話はそこでハッピーエンドにならない。

今度は、エルから連絡が来た。
「今どこにいる?」
それで、私たちに、「泊るかどうか、考えておいて」と言っていたにも関わらず、
私たちが泊まらないと分かるや否や、「失礼だ!」と騒ぎ始め、怒っていた。

私たちは、一生懸命、お礼を言い、失礼のないように、そしてもちろん、ごめんなさい。と詫びたが、あきらめず、また執拗に「2日から泊まるように」と追い打ちをかけてきた。


私は家が与えられた喜びよりも、それまでに体験してきた、人の善意の裏にある「偉大なお金のパワー」に、圧倒され、大きな驚きと共に悲しかった。お金はかくも、人を変えてしまう。いいアイデアでしょう、といったエルは、お金あってこその優しさだったのか。
誰もかれもが、お金、お金、と言っているように私には思えて、本当に悲しくて切なくてたまらなかった。


エヴァ同様、私もまた、知り合う他人に疑心暗鬼になってきて、この家に安らげず、眠りについた。

by桜子

追伸①小さな池には、亀が5つもいて、庭にはインコ、ハーブ、コーヒー豆、プラム、バナナの木が備わっている。オークランド市内にしては、自然を味わう庭があり、まだ一度も利用していないが、プールやジャグジーもある。

神様が私たちに与えてくださった家は、結局のところ、こういう家だった。

追伸②政府が通学自粛を取り下げたので、2月3日から学校スタートになりました。
娘は急な変更でストレス、と落ち込んでいますが、お祈りよろしくお願いします…。

追伸③日本一毛刈りが速い男、大石駿FromNZに書いた、古田稔さんに連絡をくださった方がおられ、古田さんが、とても喜んでおられるようでした。メッセンジャーで、稔さんはやり取りが出来るようですから、ぜひお見舞い応援メッセージを、示された方は(祈ってから)お送りされてはどうかな、と思います。:)


このブログを読んでくださっている方に、心から感謝申し上げます。m(__)m
私たちの旅(家探し)は、まだまだ続きます…。

ニュージーランドの家探し~短期移住3

2月1日から住む家がない、の続き。(詳細はhttp://ニュージーランドの家探しより)

31日の朝、緊張して起きた。
パソコンを開くと、一通のメールが届いていた。
それは、それまでせっせと、わが家を見に来い、と私たちに営業してきた、Airbnbの家主エル(仮名)だった。

「コテージは安全だから、まずこちらに来て。それで、2月2日までは、わが家の1階に泊まったらどう?いいアイデアでしょう?」

詳細割愛するが、私たちは彼女の一軒家に2月2日から泊まる予約をいれていた。(31日から満室で予約不可だった)
それで、私は、これは神様から来た、と雷に打たれたように判断した。

「なんかよく分かんないけど、まずこの人に会いましょう!」
と夫に言って、荷物をすべて車に積んだ。


別れ際、それまで滞在していた家のオーナーが、ちょっと渡したいものがある、と言って、両手に、
①冷凍の羊肉(彼女の羊)
②卵8個、を持ち、
私たちの家の玄関に現れた。


感動した。
神様に見える。
後ろから後光がさすよう。

いや、嘘だけど。


前日、娘と手作りパンを差し上げたのが良かったのかな、と一瞬、私は考えた。
が、そんな下世話な自分を恥じた。
間違いなく、神様からの憐れみでしかない。

第一、滞在中に家主から「スーパーで羊の肉を買わない」と聞いていて、
「そんなラムは、いったいどんな味だろうね」と話していたから、素直にうれしかった。
そして、ここでは高額な卵も、8個(日本円で千円ほど)も頂いて、すごく助かる、と思った。

私たちは、その上、最後に、果物の木からたくさんのプラムを摘んで、「日曜になったら、教会のみんなに差し上げよう」と笑い、エルの下へわき目もふらず、車を走らせた。

ニュージーランドの家探し~短期移住2

1月から苦しいニュージーランド生活(1~3)を書き始め、舞台はニュージーランドの家探し~短期移住へ。文章化するとミーハー臭が漂う。が、私はリアルに苦しい。そして、早く日本に帰りたい。

今朝、夫に、
「どうだろう?何もかも捨てて、もう日本に帰るっていうのは?」と尋ねたら、
「それじゃ、バカでしょ」とあっさり却下された。

2月1日から住む家がない、と書いた。
31日の夜23時半を過ぎ、日付をまたいでも、私たちは移り住む家が決まってなかった。

日付を少し巻き戻す。
ニュージーランドの家探し~短期移住で、最終的に2月1日から住める家の候補地が「4つ現れた」と書いた。

が、それには、続きがあって、1月30日に4つ目の候補地へ行くと、何もなかった。
箱根から渋谷ほどの距離を往復し、紹介筋は、地元教会のクリスチャン夫婦で、前日には「必ず行くように」とリマインドまで送られて、地図をみると、学校の目と鼻の先の家だったから、私たちは期待した。
そのため、30日夜は、落胆した。

数日前、神様を必ず信じる、とブログで書いたが、いつも前向きでいるのは厳しかった。

しかし一方で、同日、驚くべきニュースが入ってきた。
2月1日の入学に備え、部屋探しをオークランド市内で探していたが、政府が、学校の始業を1週間延長する、という。ご存じの方もいるかもしれないが、オークランド市内の大雨による洪水で、道路復旧のため、政府が学校側に送迎渋滞(子供の登下校を親が見守るのがこの国の仕組み)を割けるため、という。

ああ、家確保の猶予が与えられた。
けれども、娘の体調管理も含め、私たちはそろそろ、羊がたくさんいるニュージーランドの箱根から、ニュージーランドの渋谷辺りまで戻ってこなければならない。いつまでも、ぬくぬくと自然を愛でているわけにはいかなかった。

延泊したい気持ちを抑え、31日はやはりチェックアウトしよう、と夫と話し合った。
もしどうしても、何も見つからなかった時は延泊だ、と後は何かが明朝、いや、正しくは今日だが、動くことを期待して、やるべきことはやった、と1日0時半、私はベッドにもぐりこんだ。

by桜子

white coated lamb

日本一毛刈りが速い男、大石駿FromNZ

毛刈りってなんやねん、と思った。

羊の毛を刈る職人が、日本人でニュージーランドに居る、という。
腕前は、日本一。2分で羊一頭の毛を刈るスキルの持ち主は、今春、来日して講習会を予定。
おかげさまですでに満員という。


「駿くんに会えるように、祈ってます」
そんな情報の主は、以前インタビューに応えてくださった、その51:サーヴァンツ・インターナショナル創業者・相談役 古田稔氏。
「棺桶に、片足つっこんでる」と、病床からわざわざ「それぐらいかなあ、僕が出来るのは」と、稔氏。私、何もお願いしていないですが、うっ、うっ、古田さん。優し過ぎる。この感謝をどう伝えればいいか・・・!

そういうわけだから、駿さん、私たち、会わないといけません。

という、熱意が通じたかは分からないが、普段はニュージーランドの南島で暮らす彼が、ちょうど北島のオークランドに仕事で来ていて、タイミングよく、私たちは対面できた。

写真撮影後、私が、携帯の写真を見せて、
「この写真…ズボンの紐、ちょっと気になったりします?撮り直す?」
と、聞いたら、

「いや、僕、そういうの、全然気にしないんで、いいです、ハハハ」
と、駿さん。


シルビアパークのベンチに座り、お茶をしながら、私たち家族と一緒に、いろんな話をした。
ここでの暮らし、羊の毛を刈る大会の話、首相と話した経験や、ニュージーランドにおける子供の学校選び、とか。

「オークランドより、クライストチャーチがいい。学校の子どもたちは、農家の子供たちだから、いじめもない」
というような話を聞き、次にニュージーランドへ行くときは、私たちは南島へ行こうと考えた。


by桜子

bedroom interior setup

ニュージーランドの家探し~短期移住

苦しいニュージーランド生活3で書いた通り、私たちは今、2月1日から住まいがない。
この家を出る日まで、あと3日。
父親が、電話で言った。

「ホテルに住めばいいじゃないか。」

しかし夫は、「ホテルが近くにないんです。」と答えた。

無理してオークランド空港近くのホテルに住む手も、なくはないだろう。
が、なんということだろう。
3日前、記録的な豪雨に襲われたオークランドは、空港が水浸し。
多くの家屋が洪水被害で浸水し、道路は閉鎖も多く、市では緊急事態警報が発令された。
ここ真夏のニュージーランドでも、極寒の日本と同じく異常気象が発生して、
「こんな夏は初めて!」と会う人が口を揃えて言う雨の夏を迎えている。

clean blue water rippling in basin

「洪水で、部屋がない人が増えたから、部屋探しはさらに難航するでしょうね」

と、土曜日、ドイツ人ママから、私にメールが来た。
彼女は、わが家と同じく子供の短期留学でニュージーランドに夫婦できていて、2日前ササっと連絡先をくれた人だったが、わざわざ、心配して、頼りになる不動産屋の電話番号と担当名を私に送ってきてくれていた。



しかし、私は、次のように考えていた。


さっき、神様が私に家を与えると約束してくれたから、
その不動産屋さんにお世話になる可能性はかなり低いわ、と。


なぜか。

それは、土曜の朝、私はオンラインで見つけたのだ。
理想の家を。
そして、私は大胆に祈ったのだ。


ああ、神様、私たち今、2つの部屋の候補がありますけど、
私たち、部屋じゃ、ダメなんです。
私たち、家が欲しいんです。
私たち家族が、リラックスできる家が必要なんです。
家をください。
そして、もし家が与えられるなら、神様、その証拠に、卵を下さい。

今住んでいる家には、放し飼いにしているニワトリがいて、来てからずっと、私たちは卵が欲しい、と大家に言っていた。それで、オーナーは、「うん、あげる」と言ったが、「最近どこで産んでいるのか分からない」と言って、もらえないでいた。


それで私は、祈った後、期待して、家のドアを開けた。
そして、ニワトリが卵を産みそうな茂みを見た。


・・・

空っぽだった。

ガーン。ショック。


それで反省した。

ああ、こんな風に神様に家をくれる「しるし」を下さい、なんて、
そんなこと、祈っちゃいけなかったよね。
「しるしは今の世では与えません」とかなんとか、聖書のどこかに書いてあったよなあ、と
ガッカリして、原っぱをのろのろと歩いた。


そして、気を取り直して、家を出たついでに果物の生る木の茂みに出かけ、バッグに果物をたくさん詰めて、家に戻った。

すると、どうだろう、先ほどの茂みに、ニワトリが座っている。
そしてお尻をプルプルっと降っている。
あれ、もしや、ひょっとして…


私は祈った。ああ、神様、この子が卵を産みますように…!
神様、神様…!!!


ポトン

ニワトリは私をチラッと見て、そして去っていった。

た、た、たまご・・・!
ちょっと、人生で初めてニワトリが卵を産んだところを見たんですけど!!!


「ねえ、私たち、絶対、家が与えられるー!」
声高らかに、玄関で私はホカホカの卵を手に、娘と夫にその「生卵」を触らせて、コトの顛末を話した。

ハハハ
と夫は笑っていた。

私は、信じることにした。
この理想的な家、必ず私たちの住む家になる、と。
何事でも信じたらその通りになる、って聖書にあったではないか。
疑わずに信じよう。


しかし、実のところ、この家は、こちらでの賃貸物件のため、その実現は容易ではない。
第一に、契約は最低1年が求められる。しかし、私たちは短期だけ契約したいのである。
おまけに、この契約履行が仮に進んだとしても、最低1週間は審査等で時間がかかり、
おまけに土日祝日は、オフィスが閉まっている、とニュージーランドの人たちは私に教えてくれた。


ふむふむ、だとすると、私たちはいずれにせよ、2月1日ここに住めないのは確定だ。
だとしたら、それまでどこに仮住まいを決めたらいいだろう?


1月29日、日曜日。私たちはオークランド市内の教会に参加した帰り道、高速道路で、虹を見た。
水平線から水平線へと続く、大きな虹を見た。



「ママ、虹!虹が180度だよ!神様がいい家を与えますっていうことかな?」と娘がその美しさのあまり、興奮して言った。


うん、そうだねーと、私は言った。
そうだ、神様は必ず、良い家を与えてくださる。

第一に、卵が与えられた。
第二に、虹が与えられた。
そして、
礼拝後にお会いした宣教師の方が、私たちに

「一つでも住まいの選択肢があるなら良かった」

と言ってくださっていたのだけど、帰る頃になると、あろうことか、私たちは、一つどころか、四つも選択肢を持って帰途についたのだった。



by桜子


タイムリミットまで、あと3日

苦しいニュージーランド生活3

国境の長いトンネルを抜けると、天国であった。(※川端康成の『雪国』をパロって)


私たちは、「試練の長いトンネルを抜けた…」か、分からない。だがここは天国と見間違う。

羊40頭、ニワトリ5羽、犬1匹。
私たちを慰めて余りある大自然は、私たちの失った日々を取り戻すのに十分だった。


ここはオークランド郊外のAirbnbの家。
4日前、すべての荷物を車に乗せ、家を出た。

ずっと思っている。

私たち、呪われてなんか、いない。
すごく、神様に愛されている!
そうでなければ、こんなこと、どうして起こる?

昨日、娘の術後経過を見るために、クリニックへ行った。
すると看護婦が、娘の誕生日を聞いて目を輝かせ、
「あら、うちの娘と同じよ!あなた、きっと優しい子なのね」と言い、
娘の指が痛まないように、この上なく優しく、優しく、包帯を剝がしてくれた。

ああ、神様は、こうやって、人生をいつも彩ってくれる。
看護婦の子供が娘と言うことも、同じ誕生日、という偶然も、
日常のスパイスにしては、効き過ぎている!


そして、今滞在中の家は、「これは君の好みの家に違いない」と夫が懸命に見つけた。

Auckland,house

素晴らしい家だ。幸い、オーナーとも親しくなった。


だが、残念なことに、娘の学区から遠いため、私たちは2月1日には出ていく。
その先はどこで暮らす?

まだ、見つからない。
でもきっと見つかる。

新学期が始まる2月1日までは、ここで私たちの居場所だ。
すべての疲れが溶けて流れていく。

もう、部屋の中に閉じこもらなくていい。
朝からひそひそ声で喋らなくていい。
廊下に響く足音に怯えなくていい。

台所で好きな時に、好きな料理を作れる。
お皿を洗わずシンクに食器を置いてても、叱る人は誰もいない。
自分たちだけの空間が、これほどまでに愛おしいとは。

そういう喜びを、この年で知るとは思いもしなかった。

東京で当たり前のように暮らしていた日々こそ極上、と気づく。
人生の中盤で、これを知る。
同時に、ウクライナとロシアの生活に思いを馳せる。
ああ、彼らはいったいどんな日常を過ごしているのだろう。



by桜子