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小学生のニュージーランド親子留学③「渋谷のラジオ」に出演

ラジオしぶや区ニュース


来月、娘にラジオの出演オファーを頂いた。ビックリ。

そういうわけで、これは「わが子に留学をさせたいと考えている親御さん」に朗報だと思い、リアルタイムでお届けする、子供の生の声の告知を行う。


私が綴る親子留学よりもリアルな、子供の意見について、お時間のある方はどうぞ、チャンネルは「渋谷のラジオ」で視聴ください!


日時:4月4日(火)12時~13時 



①スマホやタブレットでアプリをダウンロードして視聴

アプリの検索で、公式アプリ「渋谷のラジオ」を探す。
見つけたらダウンロードをする。
ダウンロードが出来たら準備OK!時間になったらクリック



◆詳しくはこちら





②WEBで視聴 

公式サイトから「いますぐ聴く」をクリック。


by桜子

小学生のニュージーランド親子留学②神様おしえて、学校選び

いろいろ考えられる選択肢の中から、「この一手」を選ぶのは自分しかいないわけです。
―― 羽生善治(プロ棋士)



人生の選択はいつも難しい。

朝食はパンか、ご飯か。
家を出るときは、右足からか、左足からか。

その手の質問なら、バカバカしい、どっちだっていい、と皆、笑う。


けれど、進路だったら?就職先だったら?結婚相手だったら?
どれも人生に強い影響を及ぼすから、簡単に選択できない。


神様、どうしましょう、どうしましょう。
と、たとえ神の存在を信じていない人でも、何かの「しるし」「確信」「最善」を天に求め、行動するのではないか。

私の奇妙な冒険、ニュージーランドの家探し。
振り返ると、神は「家を与える」と確かに1月、ひとつの「しるし※」を与えてくださった。
(※ニュージーランドの家探し~短期移住をご参照ください)



それで私は、ニワトリが卵を目の前で産んだのを見て、「ちょっとー!家が与えられるよー!!」と歓喜の声をあげた。それで当時、私の脳裏には「強烈に思い浮かぶ家」があったので、それが与えられると思い込んだ。

さらに、
「何事でも疑わなければそのようになる」
という聖書の御言葉から、絶対に疑わないぞ、と堅く心に誓って過ごしていた。


結果は皆さん、ご存じの通り、その家は与えられなかった。
疑わなかったつもりだったので、私は当初、がっかりした。

けれど、これもまた、皆さんご存じの通り、もっと立派な家が与えられた。
「家を与える」という約束は、確かに守られたのだった。



私は今朝、このことについて思い巡らせた。
自分と神の落差である。

自分の人生を歩んでいると、自分が一番よく分かっている監督者のように思ってしまいがちだが、神が最善の監督者であることを思い知る。聖書には、私たちの願いや望みについて、次の文がある。


===============

期待が長引くと心は病む。
望みが叶うことはいのちの木である。

箴言13:12

===============


私は、家探しにおいて、脳裏に浮かぶ家を欲しい、と望んでいたが、その本質は、「家族が幸せに暮らせる家」だった。

だから神様は、私の本質を叶えた。それは私が監督者ではダメであり、やはり神が監督者でなくてはならない、という結果でもあった。


ああ、なんと、素晴らしいことだろう。
私たちの理解を超えて、知識を超えて、一番良いものを授けてくださる方がいる。
日々の必要をよくご存じで、私たちの望み、願いを、私たちが口にする前から知っている。



今日も神様が、お1人お1人の上に、豊かに望まれますように。


by桜子



※学校選びのリアルは次回、綴ることにします。



ニュージーランドで家を探す→仕事を探す

苦しいニュージーランド生活で、やむなく家探しに奔走した時に、NZ版メルカリ「trade me(トレードミー)」というWebサイトに出会った。このサイトは、メルカリと違い、家や車も個人間で売買できる仕組みで、NZの経済を循環させている。


あらゆる手段を使って家を探す、というのは、こういったサイトも利活用することであり、全部英語だが、私たちは背に腹は代えられぬ、と「地域名」「予算」「広さ」「家具付き」の条件検索をして、問い合わせは20件以上、見学は4件行った。

結局は、「ここはいい!」と主人や私が惚れた、“身の丈に合った”家、はどれも与えられなかった。私たちに与えられたのは、“身の丈”を凌駕する、海沿いにある二階建ての大きな4LDKの家だった。

家の近くのビーチ


私はブログで家探しの旅を書き綴った時、当然ながら、結末は分からなかった。ただ、書いて、書いて、記録した。その結果、読者の方の中には、神様ってすごいね、確かに(自分は神様なんて信じていないけど)いるのかもね、と思った方もいるのではないか、と思う。


それで今度、もう一つ、私は試してみたいな、と思うものがある。
それは、仕事である。


というのも、前述の家探しの時に、中国人の不動産屋さんから私は聞かれた。
あなた、なんでニュージーランドで働かないの?ニュージーランドで働いてワーキングビザ出してもらえれば、家賃も出せるし、学費もタダになるでしょ。あなた、出来るわよ




家が与えられた翌日、ニュージーランドの魚屋さん(FISH SHOP)へ行った。
その二日後、また魚屋さんへ行った。
そのときに数件隣をみたら、「大人のための教育センター」があった。


何だろうと思って扉を開いてみると、英文履歴書の書き方を無料で指導してくださる、と言うではないか。私はさっそく申し込み用紙をもらい、次週の講座に出る約束をして、センターを後にした。



by桜子



Season2:ニュージーランドの家探し~最終回

コンビニのサンドイッチに挟まれた、うっすーいレタス。
味も定かでない、その薄いレタスが、私には今回の家探しによく重なる。


不幸な日々は、ハムチーズとパン。
その中に垣間見える幸せは、薄いレタス。
苦しいニュージーランド生活の毎日にうめきや悲しみは満ちていたけれど、慰めや喜びも微かにあった。

細かいことを、取り上げればキリがない。
後半のエピソードは省略するが、先週も朝になって、今夜泊まる家がない状態に再び襲われた。

「車中で寝ればいいよ」と腹をくくった時、スマホを触り続けていると、誤って私に予約完了の通知が来て、泊るつもりのない家が手配され、5泊した。(※そこは、主人が、この家だけは泊まりたくない、と考えた場所だった)



1月からの滞在履歴を振り返る。
①主人の友人宅(悲劇の始まり)
②オークランド郊外プケコヘの家(東京でいう伊豆みたいなとこ) 
③エヴァとジョンの家(地獄ふたたび)
④オークランド空港近くの家(寒さで主人と娘がダウン)
⑤グレンイネスのホテル(最上級の部屋と台風)
⑥セントジョーンズの平屋(泊るつもりのなかった家)

娘は最後の方になると、朝、「今、自分はどこにいるのか分からない」と起きてきた。
移動の度に、スーツケースを抱えて荷ほどきし、荷造りしては車に乗る生活を、娘はどのように感じただろうか。
彼女もよく、ついてきてくれた。


このたびの苦しみについて、私の学びを一つあげる。それは、コレ。

神様は私たち人間を、徹底的に、限界まで、あなたの力の限り、頑張らせる


信仰があれば、祈っていれば、穏やかな生活になるはず、と思っていた。
「ニュージーランドに行ったら暇だよ~」と夫に言われて、日本から書籍をたくさん持ってきた。どれも、この生活では重荷でしかなかった。


以前、ニワトリが卵を産む話を書いた。
私はその時、私の脳裏に浮かぶ「小さな家」が必ず与えられる、という強い確信に満ちていた。
だから、大喜びした。

けれど、実際には、その家は与えられなかった。
わが家と同じ留学生の親子が長期滞在だから、と契約が成立し、私たちはその知らせを悲しく聞いた。


だけど。



Are you ready?


さあ、今の住まいをお見せしましょう!!!

pexels-photo-206172.jpeg
※これはイメージです


23年2月21日、私たちに「完璧な一軒家」がついに与えられた。

Airbnbの家じゃない。
海まで徒歩3分(計算外)の、4LDK、家具付きの一軒家。
娘の学校まで徒歩20分、車なら4分。娘の個室、夫婦の寝室、主人の仕事部屋までついている。




ああ、これはいったい、なんということだろう。
家具付きの一軒家が、短期移住なのに、オークランド洪水で家屋は不足気味なのに、とうとう与えられたのである。



私は初日、怖くて怖くてたまらなかった。
どうしよう、また何かある気がする。
怖い。



まだ心臓がドキドキするの。

ちょっとお茶を飲みましょう。

そして、一つづつ、一つづつ、新しいことをしましょう。
ガスのつけ方、洗濯機の使い方、新しいことを覚えるのに、まだ脳が追いつかないから。

今日は食事は作らないわ。

主人にそう言って、初日は大きな家で静かに寝た。



2月23日、天気は晴れ。

私の心も、まだ不安はあるが、確かに晴れている。

「そりゃいい!すべての栄光を神に返せ!」と私に言ったニュージーランドの友人と、神様へ。



私は今、すべてのご栄光をあなたにお返しします。



by桜子

close up photo of coconut tree

Season2:ニュージーランドの家探し~短期移住10

サイクロン「ガブリエル」国家非常事態宣言


私がエヴァとジョンの家で死んでいた頃、空も同調するかの如く、嵐であった。


以下、在オークランド日本総領事館が2月11日(土)に発出したメールの一部。
============================================
 サイクロン「ガブリエル」は2月12日(日)から14日(火)にかけて、NZ北島各地に影響を与えることが予想されています。NZ国家緊急事態管理庁(NEMA)は、サイクロン「カブリエル」がNZ各地に影響を及ぼす可能性があるとして、豪雨・強風への警戒を呼び掛けています。(中略) 在留邦人の皆様におかれましては、引き続き報道等から最新の情報を確認し、ご自身の安全確保に十分注意してください。
============================================

私たちは、12日(日)から、Airbnbの家に9泊を予定していた。

前にも書いたが、娘の学校は高級住宅街で、近隣の宿泊料がバカ高い。
一か月100万あっても足りない。
もし半年以上前に予約したら、選択肢はあったのかもしれない。
だが、急な展開で家探しに陥った私たちは、いつも高い部屋から選択するしかなかった。

考えた末、夫は、高速道路を使って、オークランド空港近くの家を押さえていた。
「しばらく登下校の苦労をかけるけど、早起きして車中で朝食をとって頑張ろうね」と娘に覚悟させていた。
しかし、嵐のため、またもや変更になった。
私たちはニュージーランドに来てから、余暇を楽しむ時間はいつもなかった。
家を探すことに一日の大半を費やし、結局、2泊だけ、近場のホテルに変えることが出来た。

ホテル内の最高値の部屋
(そう見えなかったが…)



ホテルに着くと支配人が、今すぐスーパーへGO!と言う。
今行かないと、食料がなくなる、と言う。


私と主人はともかく困難が多い。
だから、素直にその指示に従い、支配人に子どもを頼み(ニュージーランドでは低学年の子供の自宅待機は禁止)、買い出しに出かけた。


外は嵐であったが、私の心は弾んでいた。
今日からは二度と、誰かと一緒に暮らす生活はしない、と硬く心に決めていた。
買い出しですら、それが嬉しくて、「ワインが欲しいね」と私は少し、浮足立っていた。


清潔であれば、なんでもいい。
プールも、庭もいらない。
家族だけで、
家族だけで過ごせる家がいい。


心臓がドキドキしないで寝れること、
朝、安心して目覚めること、
どれも私が喉から手が出るほど欲しかったもの。

日本じゃ当たり前だけど


って、しつこいのだが、
朝、安心して起きられないと、人の尊厳が損なわれていく。
ひどくみじめになるのだ。
死にたくなるほどに。

これは、体験した人にしか分からない苦しみだと思う。


ともかくその夜は格別だった。
私たちはなんと、初めてテレビで映画を視聴した。
夫がVPN接続(インターネット上に仮想の専用線を設定し、特定の人のみが利用できる専用ネットワーク)を施し、ニュージーランドで視聴不可のAmazonプライムで、ナラティブ国重氏が薦めた「ペイ・フォワード」を見た。

ペイ・フォワード(Pay It Forward)


久しぶりの没入感。

ニュージーランドに居るのを「初めて」忘れられたー!!!
と、私は大満足の夜を過ごした。

だが、その翌日になると、神はまた、私たちに試練を与えた。
ニュージーランドで唯一通話ができる携帯電話が、どうしてかなぜか、ぶっ壊れたのである。


by桜子

Season2:ニュージーランドの家探し~短期移住9

「一か月でそこまで経験しましたか…。僕はここに30年いるけど、そんな経験したことがないなあ…」

colleagues having a conversation at an office
(イメージ写真)


と、NZ在住の方に、夫が今日、言われた。


で・す・よ・ね?



私はたまに思う。
もし出発前、こんな悲劇に襲われることを知っていたら、絶対にニュージーランドに来なかった
と。



「わたしがしていることは、今はあなたにはわからないが、あとでわかるようになります。」
(新約聖書ヨハネ13:7)と、数日前、父が私に言った。

そうかな?
そうかな?
と思ったが、

今日思った。

私は久しぶりに10時間、眠れた。

それで今、生きている。
あんなに苦しい思いを経験したのに、私は今、生きている。
なんだ、大したことないじゃないか、生きているんだから、と、ほんの少し思えた。





さて、本日の本題、ニュージーランド短期移住のきっかけの続きを書く。

<これまでのお話> 
=========================================
1月02日: 東京からオークランドへ。主人の友人宅に滞在するも、第3週に退去。
  22日: オークランド郊外へ脱出し、Airbnbの家に9泊。
  31日: 今夜の住まいが見つからず。
    1日になるまで残り8時間の所で、ジョンとエヴァの家が与えられる。

2月02日: キッチンの台を熱い鍋で焦がしてしまう。
  08日: ジョンが、キッチンの修理費用を3社見積中と言ってくる。
10日: ジョンが、私たちの宿泊費を修理費用に返金しないと言う。
    私は疲労困憊で涙が噴き出る。
=========================================

Season2:ニュージーランドの家探し~短期移住8の続き。

ニュージーランドに来てから、ともかく朝が辛い。

なぜ辛いかと言えば、希望がないからだ。
安心して暮らせる家がないと、人は希望を失う。
生活空間に、楽しみをつくり出せないと、外出か、早く夜が来て寝るしか、希望がない。

住み心地の悪い家に住むのが、人にとってどれほどの害悪か、嫌というほど学んだ。


私は目を覚ましたくなかった。
起きたら、現実と向き合わなくてはならない。
それでも娘の制服を洗ってやりたかった。
しばらくして、のろのろと起き上がり、階下の洗濯場へ行くと、ジョンが来た。

「今日来た修理業者、見積金が思いのほか安かったよ」と喜んでいる。

私は普段なら、ジョンが話しかけると、忠犬ハチ公みたいに、すべての作業をやめて傾聴したが、この日は違った。


(知らんがな・・・)
と思った。


(いくら見積が安かろうが、私たちが払ったお金は返さないんでしょ)
と思った。

そう思うと、もう正直に言ってやれ、という思いが出て、私は言った。


「来てからずっと、あなたの奥さん、怖かった。私が機嫌を良くしてもらいたい、と思って話しかけても…」と訴えると、またもや涙腺が潤んだ。


私たち家族は、どちらかと言えば綺麗好きだ。
埃だらけの家を滞在2日目には綺麗に掃除機をかけて、テーブルを拭いた。

満額の滞在費用を払い、光熱費も、共有スペースも、利用する権利があるのに、
節水して、遠慮して、我慢ばかりして、我慢ばかりして、と、思ったら、もう悲しくて泣けてきた。

すると驚いたことにジョンは、「僕でさえ、妻に手を焼いている…」と言う。

「昔は、彼女、ああいう人じゃなかったんだ。今は、分かるだろう?彼女の年齢だから。君がこの地で頑張っているように、エヴァは今、闘っているんだよ。農場とこことを行ったり来たりして、自分と闘っているんだ。」


要するに、更年期ってこと?


と私は思った。
が、家主が更年期でイライラしている、という情報は、さすがに私、分かんない!!!!
お手上げだった。



そして、ジョンは最後に、こういった。

「今日で、この家と最後なんだから、思いっきり素敵な日にしなくちゃね」

彼なりに、私に愛を送ってくれていたと思う。
そして、私も、「そうだね、そしたら今夜ステーキでも焼こうかな」と言ったが、
私はもう二度と台所で調理するのはごめんだった。

そして、それ以来、彼の姿を、二度と見なかった。



by桜子



Season2:ニュージーランドの家探し~短期移住8

<家賃を返金しない大家>

1月にニュージーランドに来てから、英語力と生活力の経験値を同時に上げている私たち。

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懐かしのドラクエ風に

「また、2人で力を合わせる時が来ました」
と、戦いのゴングが鳴った。

金曜の夜10時、私がバスルームから出ると、夫は言った。

そして、家主エヴァとジョンからのメールを私に見せてきた。
そこには
「台所の修理費用に、あなたたちが払い過ぎた家賃1泊分、返しません」
とあった。

私の暖まった身体が一気に冷えていく。
そもそも、私が誤って一泊分を払ったのが、大馬鹿だったが、
私はこの家の居心地の悪さに耐え切れず、2月12日の日曜に退去する、と話していた。
それで、4月までの見込み金が入らない、と思った二人は、お金を返さないと主張してきていた。


夫は彼らのメールを私に見せてこう言った。
「この長文メールには後半、嘘ばかり書いてある。そこは無視していいから、冒頭の主張だけ読んで」
私は内心、ホッとした。
頭が疲れているとき、読まなくていい英文を指示されることは助かった。
これ以上、誰かの悪意を知りたくなかった。
もし知ったら、私の中の何かが壊れて、私は人間不信になりそうであった。


それで、ジョンと一階のリビングで夜23時過ぎまで話し合った。
最終的に、彼の主張を受け入れることを決めたが、彼は最後になると煮え切らなかった。

「明日、修理業者が来て見積がもっと高かったらまたその時に」
と言う。

私たちは家賃と修理費は分けて考えるべきで、まず家賃は返して、とお願いしたが、それは嫌だと言う。
だが、実のところ、私たちは保険に加入していて、場合によっては全額負担も可能であった。

私はジョンの目の前で、夫に日本語で「どうすることが、神様に喜ばれる選択なのかね」と言った。
どう対応するのがみんなの幸せになるか、わからなかった。
結局それでも、彼の主張を採用し、それでは明日、と流すと、ジョンは
「これで友達だ」
と、主人に握手を求めた。

それで、次に私の番になったが、私は頭が混乱して、たまらなくなり、声をあげて泣いた。
泣くつもりは全然なかった。
不覚だった。
しかし、気づくと、なぜかジョンが私を強く抱きしめ、背中をさする。

(抱きしめられるってどういうこと?)

と頭の中の嵐はなお、止まらず。


それでも、何か優しい気持ちがあるのか、話し合いは成功したのか、と考えた。

先月から続く、過多なストレスで、私の精神は極限に達し、涙腺は緩んでいた。
娘が私の声に驚いて、二階の寝室から一階に来ていた。


ああ、どうしよう。
何が何だか分からない。


けれど後で聞くと、夫が言うには
「ジョンも泣いてたよ。僕を泣かせるなよ、とか言って…」
とのことだった。



私は寝室で鼻をかみながら、
「それにしても、なんだろうね、ジョンは。こんな嘘のメールまで書いてきてさ…」
と言った。

しかし夫は、
「いや、それはもしかしたら、エヴァに書かされたのかもね」
と言った。



by桜子


Season2:ニュージーランド小学校の初日

1月、苦悩続きだったわが家。(悲惨な話:ニュージーランドの家探し~短期移住4
2月、シーズン2を迎え、娘の小学校生活が始まった。

ニュージーランド北島にある大都市、オークランド。
昨今は不動産価格が高騰し、今はバブルという。
娘の小学校は、高級住宅街の地区にあるアイビーバカロレアに準じた、教育スコアの高い学校と言う。

けれども、私たち家族は、ニュージーランド短期移住のきっかけに書いた通り、
「子供の教育のために海外だ!」とか、
朝日新聞で連載中の「私が日本を捨てた理由」にある、日本脱出!の類ではなかった。
本当に、たまたま。
日本好きだし、たまたま、生活の中に、海外で暮らす、という選択肢を選んだだけ。



そういうわけで、娘に望むことはただ一つ。毎日学校へ行ってさえくれれば、それでよし。
でも、うちの子は日本の学校の「画一的な感じ」がどうも性に合わないようで、
「海外もダメなら、うちの子きっと行く学校ないね」と裏で夫と話し合っていた。


「どうする?もし、こっちで『学校行きたくなーい、涙』って言ったら?」
と、夫。
「その時は…しょうがないね…。」
と、私。

当日、娘はやはり緊張して、私たち親にそんな自分を見せたくないと思ったらしく、(早く帰って、)と合図を送り記念撮影すら、撮らせなかった。

下校時間の15時を目指し、車で娘を迎えに行くすがら、夫は言った。

「べべ(仮称:娘の名前)の感想はどうだろうねえー。第一声が『楽しかった!』だったら、うれしいなあ」


私はすぐさま、反論した。

「そんなわけないじゃん!英語、喋れないんだよ。ものすごいストレス抱えて帰ってくるよ。そんな感想、望みすぎだよ!」



だがしかし、彼女はこう言った。

「めっちゃ、楽しかった!!!」


私はわが耳を疑う。
全然写真を撮ってなかったので、今こそ写真を撮ろう、というと、夫に腕をからませ、ピースサインをしている。
この変わりよう、さていかに?


聞けば、ニュージーランドの学校で、初日ながら、「友達が7人出来た」と言う。
そして授業は、「めっちゃ、面白かった」と言う。


「英語、わからなかったでしょう?」
と聞くと、

「わからなかったこともあるけど、分かったところもあった。」
と言った。

「あのね、こっちの学校、すごいんだよ。先生が、〇〇しなさい、って言うと、みんな先生にたくさん質問したり、文句言ったりするの。それで、みんな先生に出された課題が終わると、ソファーの上でバーッと暴れる子もいれば、絵を書いたり、工作する子もいて、みんな自由なの。好きなところに座っていいの。私、楽しい!!!頑張れそう!」




そういうわけで、とりあえず、初日、無事に終わった。
私は今夜は、生クリームたっぷりのパンを食べ、リラックスして、ワインを飲んだ。


神のなさることは、時にかなって美しい。

ああ、今日は安堵が与えられ、感謝、感謝な金曜である。

by桜子




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ニュージーランドの家探し~短期移住4

ニュージーランドの家探し~短期移住3の続き。
白いワンピースを着た初老のエルは、私にとって神々しかった。


しかし、彼女が私たちに与えた部屋は、バックパッカーでもない私たち家族にはしんどかった。
そこはブラジルや、東南アジアなどの移民が住む共同フロアーであった。
でも、ともかく感謝すべきだ、と私たち夫婦は考えた。

それまで私たちは、良い家に住んでばかりだった。
だから、まずは与えられたことに感謝、と。

けれど、その後、エルは言った。
「二泊で150ドル。あとは交渉ね。それでいいか考えておいて」
私はてっきり、彼女の善意で家に泊まらせて頂くのだ、とばかり思っていたのでやや驚いた。
しかし夫は「そうなる可能性がある」と私に事前に言っていて、読みがあたった。


しつこいが、私たち夫婦は、感謝すべき、感謝すべき、と心の中で呪文のように唱えていた。

けれど、悲しいかな、本能は何か言っていた。私の心が泣いている。
私は、この家探しの過程において、実に多くの方の善意に遭う。
そして、地元の教会の週報に「日本人家族が困っている」とお願いしていないのに、取り上げられるほどになって、ぽっと出の私たちがこのような善意に遭うとは、と感動した。
が、物件においては、お会いするクリスチャン家主が、揃って、お金の話になると、いきなり、
「あら、いくらかしら?今まで考えたことなかったわ!人に部屋を貸したことがなかったから」と言って、
たとえ旦那さんが、「週300ドルもいらない」と首を振っても、奥さんは「市場相場は500だから、一泊100ドル、一週間なら泊数が多いから500」と、ビジネスウーマンになることが、同じクリスチャンとして、どうしても、私の理解に苦しむ所になった。

彼女は、私たち家族が、困っているのを知っている。
クリスチャンであることも知っている。
たった一泊でも100ドル払え、と言う所が、非常に理解に苦しむ。
わが家なら、あるいは、うちの主人なら、「お金はいらない」と言うだろう。


これからは私も、うちに泊まるなら一泊一万円ね、というべきなのかしら?
と、私は夫に思わず聞いた。

でも結局学んだことは、クリスチャンだから、ってその人は神様じゃない、ということだった。
つまり、「人を」頼ってはならぬ、と学んだ。

そして、クリスチャンとは、神様を信じている人を指すが、
一口に言っても、その人の価値観や考え方、またその信仰は異なっているわけだから、
私たちはたとえ、クリスチャンの人だといっても、無邪気に喜んではいけない、と改めて学んだ。


そういうことは、日本で、それなりに分かっているつもりだったが、
異国にいて、つい、優しくて、祈ってくれる人がいると、私などはすぐ無防備になって油断して、なんでもペラペラ喋ってしまっていた。

私は、間違いだった、と気づいた。
そうだ、人でなく、神だけに頼ろう、と改めて学んだ。
で、話を戻す。
場所は、エルに案内された私たちの小さな部屋。


ふと見ると、夫が一生懸命、スマホを触っている。
何をしているかと聞くと、
「同じお金を払うなら、もっと別の選択肢があるんじゃないの?」と言う。


それで実は私も同じ気持ちだったため、急いでパソコンを開いた。

「一つ、心あたりがあるの。私たち家族に4月まで滞在してもいい、という方が、クリスチャンじゃないけど、いるの」

その方は、Airbnbを通して、私たち家族に、スペシャルオファーの金額を提示してくれていた。
が、31日にその人の家を予約しようとすると、サイトから消えていた。

けれども、幸いだったのは、最後の最後に、Airbnbシステムでやり取りをしていたので、履歴が残っていて、メールを送ってみると、それは確かに彼女に届いていた。

それで、なぜサイトから消えたか問うと、Airbnbで嫌なことがあった、もう掲載をやめる、と書いてあった。
そして以前彼女は、私たち家族に、「一泊80ドルで泊らせたいけれど、システムを経由すると、どうしても高額になる」と嘆き、ゆえに、彼女の家に泊まれないでいたわけだが、緊急時、知恵が働く。

私たちは、互いの住所、電話番号、メールアドレスはAirbnbで伝えられなかったので、代わりにこう書いた。

「今から会えますか?〇〇ストリートの一番端に、15分後なら車で行けます」

驚いたが瞬時にレスが来た。

「オーケー」


そう、そして今、私たち家族は、住む家を見つけた。時間にして、31日16時だったか。
まさにギリギリだった。

その家には、猫5匹がいて、「猫があなたたちに慣れるまで6か月かかるわ」と玄関先で、言われた。
Airbnbでトラブルを経験したばかりの家主エヴァは、疲れた表情をして、私たちを知ることに疑心暗鬼になっているようだった。
が、猫はすぐ、私や娘の足元をスリスリしたので、彼女は私たちをOK、と認めた。

そうして私たちは、まず、お互いを知るために、1週間住んでいいことになり、泊ることになった。



が、話はそこでハッピーエンドにならない。

今度は、エルから連絡が来た。
「今どこにいる?」
それで、私たちに、「泊るかどうか、考えておいて」と言っていたにも関わらず、
私たちが泊まらないと分かるや否や、「失礼だ!」と騒ぎ始め、怒っていた。

私たちは、一生懸命、お礼を言い、失礼のないように、そしてもちろん、ごめんなさい。と詫びたが、あきらめず、また執拗に「2日から泊まるように」と追い打ちをかけてきた。


私は家が与えられた喜びよりも、それまでに体験してきた、人の善意の裏にある「偉大なお金のパワー」に、圧倒され、大きな驚きと共に悲しかった。お金はかくも、人を変えてしまう。いいアイデアでしょう、といったエルは、お金あってこその優しさだったのか。
誰もかれもが、お金、お金、と言っているように私には思えて、本当に悲しくて切なくてたまらなかった。


エヴァ同様、私もまた、知り合う他人に疑心暗鬼になってきて、この家に安らげず、眠りについた。

by桜子

追伸①小さな池には、亀が5つもいて、庭にはインコ、ハーブ、コーヒー豆、プラム、バナナの木が備わっている。オークランド市内にしては、自然を味わう庭があり、まだ一度も利用していないが、プールやジャグジーもある。

神様が私たちに与えてくださった家は、結局のところ、こういう家だった。

追伸②政府が通学自粛を取り下げたので、2月3日から学校スタートになりました。
娘は急な変更でストレス、と落ち込んでいますが、お祈りよろしくお願いします…。

追伸③日本一毛刈りが速い男、大石駿FromNZに書いた、古田稔さんに連絡をくださった方がおられ、古田さんが、とても喜んでおられるようでした。メッセンジャーで、稔さんはやり取りが出来るようですから、ぜひお見舞い応援メッセージを、示された方は(祈ってから)お送りされてはどうかな、と思います。:)


このブログを読んでくださっている方に、心から感謝申し上げます。m(__)m
私たちの旅(家探し)は、まだまだ続きます…。

ニュージーランドの家探し~短期移住3

2月1日から住む家がない、の続き。(詳細はhttp://ニュージーランドの家探しより)

31日の朝、緊張して起きた。
パソコンを開くと、一通のメールが届いていた。
それは、それまでせっせと、わが家を見に来い、と私たちに営業してきた、Airbnbの家主エル(仮名)だった。

「コテージは安全だから、まずこちらに来て。それで、2月2日までは、わが家の1階に泊まったらどう?いいアイデアでしょう?」

詳細割愛するが、私たちは彼女の一軒家に2月2日から泊まる予約をいれていた。(31日から満室で予約不可だった)
それで、私は、これは神様から来た、と雷に打たれたように判断した。

「なんかよく分かんないけど、まずこの人に会いましょう!」
と夫に言って、荷物をすべて車に積んだ。


別れ際、それまで滞在していた家のオーナーが、ちょっと渡したいものがある、と言って、両手に、
①冷凍の羊肉(彼女の羊)
②卵8個、を持ち、
私たちの家の玄関に現れた。


感動した。
神様に見える。
後ろから後光がさすよう。

いや、嘘だけど。


前日、娘と手作りパンを差し上げたのが良かったのかな、と一瞬、私は考えた。
が、そんな下世話な自分を恥じた。
間違いなく、神様からの憐れみでしかない。

第一、滞在中に家主から「スーパーで羊の肉を買わない」と聞いていて、
「そんなラムは、いったいどんな味だろうね」と話していたから、素直にうれしかった。
そして、ここでは高額な卵も、8個(日本円で千円ほど)も頂いて、すごく助かる、と思った。

私たちは、その上、最後に、果物の木からたくさんのプラムを摘んで、「日曜になったら、教会のみんなに差し上げよう」と笑い、エルの下へわき目もふらず、車を走らせた。