その40:博報堂DYメディアパートナーズ 相川雅紀氏

博報堂DYメディアパートナーズ iメディア局のメディアプロデューサー
「相川雅紀氏」に、セカンドライフを聞く。(2007年秋口実施)

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先々月の時事通信セミナー「爆発ソーシャルメディア」で、博報堂側の代表として
セカンドライフをテーマに講演を行った、博報堂DYメディアパートナーズの相川雅紀さん。
その後、新聞や雑誌で話題にのぼるセカンドライフについて、今一度、相川さんにお話を伺う。

■初めて拝聴した際、相川さんの講演は力強い印象を受けました。
 その後ブログなどで書き込みがあり、反響が随分あったようですが、
 ご自身の周りでも何か動きはありましたか?
 
相川氏:
反響としては2つありましたね。1つは、博報堂社内での動き。
セカンドライフに関して博報堂DYメディアパートナーズがこういう動きをして
いたのかと知らない人が多くてセミナーに参加した社員の関心が高まり、
社内の問合せが結構、増えました。

もう1つは、博報堂グループ社外での動き。これに関してはオフレコでxxxです。
弊社では毎週セカンドライフに関する定例会をやっていますが、様々な企業に
来てもらっています。私はその事務局をやっていて活発な動きがありますね。
マグスル東京の新谷さんともいろいろ情報交換させて頂いてます。

■改めて、セカンドライフに関する博報堂側の考えとは?

相川氏:
僕個人の考えとしては、セカンドライフにおけるCには、
Consumer(ユーザー、生活者)だけではなく、Community(コミュニティ)
そしてCreatorも含まれてくると考えています。
いかにユーザーとコンテンツを作って、リッチな体験をユーザーに生み出して
いくのかということが大切だと思っています。
マグSL東京と協業して、今後イベントを色々とやる予定なので、
乞うご期待です!!

■セカンドライフ悲観論もありますよね。以前から出てもいますが最近はより顕著かと。
アメリカのタイム誌では「行ってはいけないワーストサイトのベスト5」に選ばれた、
それらについてのご意見を。

相川氏:
わざわざ言われるというのは、それは注目を浴びているのかなあ、と。
どうしようもないサイトだったら雑誌で取り上げられることもないでしょう。
高性能のPCでなくては動かないなどともよく言われますが、
テクノロジーが解決する話なので、僕はあまり悲観論には動じないですね。
    

■相川さんは、悲観論を持つ方々には何と仰っているのですか。

相川氏:
一回、ユーザーがリッチな体験をするとそれはもう戻れないでしょう、と。
サクサク動くかカクカク動くか、分からないんだけれども、色んな場所に
テレポートしたり買い物することは楽しいんですね。それを体験すると、
そういう意見はなくなるのではないかなと思うんですよね。
それは、昔インターネットが流行るときも同じような流れを受けていて、
ADSLにもならないような時代、HPを見るまで何秒かかるのか、当時は
10秒ルールといっていましたが、10秒以内にHPのページが開かないと
みんな逃げていくとか、誰もショッピングなんて怖くて買わないよ、と
言われた問題が今は全部、クリアーしましたよね。
最近はクレジットカードで決裁してインターネットで本を買うとかオークションも
普通にやるようになりました。
それと同じように、セカンドライフも環境や技術が解決してくれるんじゃないか
と思いますね。

■では、セカンドライフがコケるという心配はないのですか?

相川氏:
あれだけのユーザーを今囲っているプラットフォームは他にないです。

■でも、登録者数と実際にログインしているユーザー、
 アクティブユーザーが少ない、という事実がありますよね。

相川氏:
それを言うと「なぜアクティブユーザーが少ないか」といえばパソコンスペックに
依存するところが多いのではと思いますね。どう動かしていいのかわからないかとか。 
それはテクノロジーが進化し、またコミュニティが成熟すればあとから解決するのでは
ないかと思いますね。
今、登録ユーザーが1千万人超えているんですよね。でも実際アクセスしている人は
3万人ぐらいなんですよ。この瞬間の3万人というのを捉えて
「世界で3万人って少ないじゃないか?」という人が多いんですが、
裏を返すと、「1千万人の人が1回はトライしている」。
これは、ポテンシャルなんですよね。潜在顧客が1千万人はいる。
あとはその人たちに対して、認知はしてもらえているので、使い勝手がよくなりました、
というアナウンスやサービス向上をしていけば戻ってきてもらえるのではないかと。
他のプラットフォーマーたちは、まずはユーザにトライしてもらえるように頑張らなくて
はいけない状態なんです。

■仮想空間といえば=セカンドライフと、代名詞のようなセカンドライフですが、
 実際、相川さん自身もその通りだと思いますか?それとも仮想空間=○○と
 何か違う○○がくるかもしれない、とお考えですか?

相川氏:
セカンドライフが一番、有力視されている実験体だと考えています。
他のものも出てくるとは思いますが、やっぱりセカンドライフがメインになって
くるのではないかと思います。
その根拠もありますが、お話できないことが多いので、ここは勘弁してください。

■最後に相川さんが仮想空間関連で、最近、最も驚いたことを教えてください。

相川氏:
セカンドライフの中にお化け屋敷の体験ができるんですよ。
マグスルの中にUENOという場所があるんですが、そこに病院の廃墟があって、
要はお化け屋敷で、お化けはいないんですが、誰もいないのに、ボールが
ぽーん、ぽーん。ドアがバタンとしまったり、空き缶がカラカラカラと転がる。
お金をかけなくてもユーザーがちょっとしたアイデアや演出力をもって、
こういったものを作れてしまう。ユーザーのクリエイティビティってすごいなあと
最近思っています。
湯川鶴章さんの書籍「爆発するソーシャルメディア」にも書かれていますが、
ユーザーが情報を発信するというそのパワーというのがすごいなと。
セカンドライフはそのオブジェクトを作るツールが提供され売買できるということ
がサポートされ、もともとビルトインされているというのがすごいなと。
だから他の仮想空間もユーザーのクリエイティビティをサポートしたり、
ドライブをかけるようなサービスだとかツールがないと流行んないんじゃないか
なと僕は思います。あとは、コミュニティのパワーです。
僕は、常々セカンドライフは「ディズニーランドみたいなもの」と言っているのですが、
リッチな体験を共有できる仲間(=コミュニティ)がいないと、何度も足を運ばないと
思うんです。
Rich Experience(高付加価値経験)とShared Experience(経験共有)が
セカンドライフの楽しみの本質だと思っています。

ありがとうございました。 m(__)m by桜子