月別アーカイブ: 2023年2月

ニュージーランドで差し歯を接着

待合室にて

主人の差し歯が、取れた。

日本で取れたことないのに。

3日前に家が与えられたので、次は夫の体に対処する。

幸い、「神に栄光を返せ」と言った女性の義弟が歯医者さんだと言い、心配して、紹介してくれた。

歯医者さんは、こちら自由診療で高額という。だから、最短距離で適切な医師に出会うのが大切だ。

それで、紹介されて、紹介されて、ついに差し歯をつけられる専門医にたどり着いた。

歯医者に限らず、こちらの医療現場では医師不足により、予約が取りづらいという。

だが、家を与えてくださった神様は、適切な医師にすぐ引き合わせてくださった。

いくらかかるのかしら、ドキドキ

ただいま、治療中。

by桜子

Season2:ニュージーランドの家探し~最終回

コンビニのサンドイッチに挟まれた、うっすーいレタス。
味も定かでない、その薄いレタスが、私には今回の家探しによく重なる。


不幸な日々は、ハムチーズとパン。
その中に垣間見える幸せは、薄いレタス。
苦しいニュージーランド生活の毎日にうめきや悲しみは満ちていたけれど、慰めや喜びも微かにあった。

細かいことを、取り上げればキリがない。
後半のエピソードは省略するが、先週も朝になって、今夜泊まる家がない状態に再び襲われた。

「車中で寝ればいいよ」と腹をくくった時、スマホを触り続けていると、誤って私に予約完了の通知が来て、泊るつもりのない家が手配され、5泊した。(※そこは、主人が、この家だけは泊まりたくない、と考えた場所だった)



1月からの滞在履歴を振り返る。
①主人の友人宅(悲劇の始まり)
②オークランド郊外プケコヘの家(東京でいう伊豆みたいなとこ) 
③エヴァとジョンの家(地獄ふたたび)
④オークランド空港近くの家(寒さで主人と娘がダウン)
⑤グレンイネスのホテル(最上級の部屋と台風)
⑥セントジョーンズの平屋(泊るつもりのなかった家)

娘は最後の方になると、朝、「今、自分はどこにいるのか分からない」と起きてきた。
移動の度に、スーツケースを抱えて荷ほどきし、荷造りしては車に乗る生活を、娘はどのように感じただろうか。
彼女もよく、ついてきてくれた。


このたびの苦しみについて、私の学びを一つあげる。それは、コレ。

神様は私たち人間を、徹底的に、限界まで、あなたの力の限り、頑張らせる


信仰があれば、祈っていれば、穏やかな生活になるはず、と思っていた。
「ニュージーランドに行ったら暇だよ~」と夫に言われて、日本から書籍をたくさん持ってきた。どれも、この生活では重荷でしかなかった。


以前、ニワトリが卵を産む話を書いた。
私はその時、私の脳裏に浮かぶ「小さな家」が必ず与えられる、という強い確信に満ちていた。
だから、大喜びした。

けれど、実際には、その家は与えられなかった。
わが家と同じ留学生の親子が長期滞在だから、と契約が成立し、私たちはその知らせを悲しく聞いた。


だけど。



Are you ready?


さあ、今の住まいをお見せしましょう!!!

pexels-photo-206172.jpeg
※これはイメージです


23年2月21日、私たちに「完璧な一軒家」がついに与えられた。

Airbnbの家じゃない。
海まで徒歩3分(計算外)の、4LDK、家具付きの一軒家。
娘の学校まで徒歩20分、車なら4分。娘の個室、夫婦の寝室、主人の仕事部屋までついている。




ああ、これはいったい、なんということだろう。
家具付きの一軒家が、短期移住なのに、オークランド洪水で家屋は不足気味なのに、とうとう与えられたのである。



私は初日、怖くて怖くてたまらなかった。
どうしよう、また何かある気がする。
怖い。



まだ心臓がドキドキするの。

ちょっとお茶を飲みましょう。

そして、一つづつ、一つづつ、新しいことをしましょう。
ガスのつけ方、洗濯機の使い方、新しいことを覚えるのに、まだ脳が追いつかないから。

今日は食事は作らないわ。

主人にそう言って、初日は大きな家で静かに寝た。



2月23日、天気は晴れ。

私の心も、まだ不安はあるが、確かに晴れている。

「そりゃいい!すべての栄光を神に返せ!」と私に言ったニュージーランドの友人と、神様へ。



私は今、すべてのご栄光をあなたにお返しします。



by桜子

Season2:ニュージーランドの家探し~短期移住12

イモトさんと仲良しの登山家、天国じじいこと、わが叔父の貫田宗男に連絡をした。
あまりにも、ニュージーランド生活が辛くて。

※良かったらご覧ください(Season2:ニュージーランドの家探し~短期移住5


私 「いま、どこ?」

宗男「カトマンズ。2/15〜5/24までネパール」



以前、おじにNTTコミュニケーションズの仕事で、インタビューに応えてもらったことがある。その際、叔父は確か、「年間1/3は海外」と言ってた気がする。そうだ、叔父に生きる知恵をもらおう、と私は考えた。


私 「海外生活ってやっぱり大変だね。私たちトラブルたくさんある」

宗男「どこも慣れじゃない?住めば都。
   トラブルは解決する喜びがある・・・。
   三浦雄一郎さんの病気や怪我は治す喜びある・・・の真似。
   私はトラブルを飯の種にしています、笑」


そこで話が終われば文章として綺麗だが、叔父は続けてこう言った。
「トラブルがないと自分の存在価値がない」

んんっ?!
いや~。だったら、テレビにも出てない一般人の私は、もっと存在価値がないですけど、と思いながら今回のトラブルを回顧すると、存在価値が出てきているのかな…と考えた。

最近、会う人、会う人に、私たちの近況を話すと非常に驚かれ、
「本にしたらいい」と言われる。
それはニュージーランド人にも、中国人にも、日本人にも、言われた。


「私、ブログ書いてるから、そこに載せているんですよ」
というと、

「そりゃいい!すべての栄光を神に返せ!」
と、教会の人は言った。


私たちの家探しの旅を、そろそろ収束にもっていかねばならない。
現実世界は、23年2月21日だ。

私たちはオークランド空港近くの家に移っても、相変わらず連日の悲劇は続いた。
・エアコンの故障
・(上記により)娘が発熱し、学校を欠席、主人も具合が悪くなる(涙)
・(上記により再びAirbnbで家を再検索し、引っ越し)夫の下着全部を置き忘れる(涙)
・新しい家のテレビが故障
・翌日、洗濯機を動かすと破水し、床が水浸し(涙)

これらに加え、父に難病の可能性があると言う知らせが届いた。
大学病院で検査し、22日に結果が分かるという。

これには参った。
が、目の前の主人もまた、難病ではないが、差し歯が一本外れて、数日前からクリップの鋼を使って何とか接着させようとしては失敗を繰り返し、食事に難があった。



ニッコリ笑う、主人の前歯が一本ない。
申し訳ないけど、滑稽である。

なんと惨めな笑顔だろう。
でも私は、不思議と彼の顔を見ても、情けない、とか、かっこ悪い、とは思わなかった。

むしろ、困難がどれほどあっても、平静であり続け、最善の努力を日々重ねる夫を愛おしく思った。

人から見たら、滑稽かもしれない。
でも、私はそんなこと、どうでもいいや、と思った。
歯がなくなったって、死なないんだから。


私たちはみな、ひとりひとり、命が与えられている。
その素晴らしさの方に、天を仰いでいた。


by桜子

android blur cellular close up

Season2:ニュージーランドの家探し~短期移住11

アンドロイド端末のスマホが壊れた…(+天国ジジイ情報)


私たちはホテルに移動して台風に備えた。

それもこれも、明日の通学のため。
しかしその夜、努力空しく、「明日は休校です」と小学校の校長から携帯に通知が届いた。

振り返ると、入学初日も嵐で二日間、休校だった。
今回で、休校は三日目になる。

「ニュージーランドでは休校が当たり前なの?」
と尋ねたら、
「とんでもない!〇年に一度だよ!」
と現地の人が言っていたので、もしかしたら、20年に安倍元総理が宣言した、小中高一斉休校に近い感覚なのかもしれない。


そんな時期に、ニュージーランドに来てしまうなんてねえ…。

私たち、来てからいっつも家にばかり閉じこもっているねえ。

晴れた日って、来てから殆どないよね。



と、家族そろってホテルにこもり、ダラダラと過ごした。

時折、窓の外を見ていると、大雨が降っているのに、雨がっぱを来た親子連れが黙々と道路を歩いていたり、風圧に身を任せて、自転車のハンドルを持ち上げて片輪で漕ごうとする若者を見たりして、「あの人たち、こんな時に何やってるんだろう?」と、私たちは異国の景色に飽きることがなかった。


そして、明日もまた休校かしらね、と寝室へ行こうとすると、夫が何か騒いでいる。

「明日のAirbnbの家、予約を確認しようと思ってアプリを立ち上げたら、キュウウンって…」


そういったかと思うと、

「くそっ!!」

と叫んだ。
確か、そんな風に叫んでいたように思う。


「えっ?何?今度は何?!」

と私が聞くと、

「携帯がやられた。いきなり画面が真っ黒になった」

と夫が言う。


私は、「大丈夫、またまた~。落ち着いてやれば大丈夫よ~」と、パソコンで「携帯が固まった時の対処法」を開き、「私にやらせて」と十分祈ってから、ボタンを長押しして試してみたが、神様は奇跡をみせてはくれず、うんともすんとも動かなかった。

そもそも、夫の方がスキルが高いのに、私がやったところで、出来るわけもなかった。そして、のちに分かるのだが、アンドロイド端末のマザーボードが全壊していた。



日本だったら、携帯が壊れたら、携帯屋さんにいけばいいでしょう?
でも、ここはニュージーランド。

そもそも、こちらの携帯って、修理屋さんあるの?
第一、夫の携帯は私たちのライフラインで、唯一ニュージーランドで通話可能な状態であった。

彼の携帯が壊れてしまうと、電話が出来ないし、地理が分からない。
グーグルマップが使えないから、目的地に辿り着けない。
何とかギリギリ、小学校へ行けたとしても、さすがに高速道路でAirbnbの家へ行くのは無理だった。



もう何がなんだか、分からない。
夫が言うには、この携帯は買ってまだ1年しか経ってない、と言う。
なぜに壊れる?

私はもう寝るしかない、と携帯修理屋さんを調べた後、娘を抱きしめ、丸くなって寝た。
心の中では、再び、ああ神様、ああ神様、と連呼していた。


しばらくたって、リビングで夫が起きている気配を感じ、様子を見に行った。

夜中、彼はまだ携帯を手に、何やら一生懸命、下を向いて作業をしている。

私は彼の体力も心配だったので、「もう寝なさい」と言った。
が、


「まだもう少し、これやってから」
と、言う。

そうして、しばらくすると、

「何とかしたよ…」

とぽつり呟いた。

手には娘のiPhone。こんなこともあろうかと予備を持って来てたんだ、と言うから驚いた。



「え、まさかの、用意周到?」



数時間かかって、移し替えられるデータを移行していた夫。

彼が「何とかしたよ」と言ったのが、夜中だったか、朝だったか、実のところ、私は覚えていない。ただ、覚えているのは、難局を逃れた安堵と、夫への軽い尊敬の念だった。



by桜子

追伸:天国ジジイから【テレビ放送のご案内】

グレートヒマラヤトレイル「栄光と悲劇の山アンナプルナ」

先日放送されたアンナプルナが国外でも放送されます。日本で見られなかった人はぜひこの機会に!またBS4KやBSPでも再放送になりますので見逃された方はぜひ!

●2/18(土)  23:30~24:57 NHK WORLDプレミアム (在外邦人向け・日本語チャンネル)
https://nhkworldpremium.com/episode/210648

●2/23(木) 16:00〜17:29 NHK BS4K 再放送
●2/26(日) 12:30~13:59 NHK BSプレミアム 再放送

そして冬という事で利尻も再放送となります。こちらもぜひご覧下さい。
● 地球トラベラー「厳冬 遥かなる利尻山」
【BSP】2月20日(月)午後3:02~4:31

close up photo of coconut tree

Season2:ニュージーランドの家探し~短期移住10

サイクロン「ガブリエル」国家非常事態宣言


私がエヴァとジョンの家で死んでいた頃、空も同調するかの如く、嵐であった。


以下、在オークランド日本総領事館が2月11日(土)に発出したメールの一部。
============================================
 サイクロン「ガブリエル」は2月12日(日)から14日(火)にかけて、NZ北島各地に影響を与えることが予想されています。NZ国家緊急事態管理庁(NEMA)は、サイクロン「カブリエル」がNZ各地に影響を及ぼす可能性があるとして、豪雨・強風への警戒を呼び掛けています。(中略) 在留邦人の皆様におかれましては、引き続き報道等から最新の情報を確認し、ご自身の安全確保に十分注意してください。
============================================

私たちは、12日(日)から、Airbnbの家に9泊を予定していた。

前にも書いたが、娘の学校は高級住宅街で、近隣の宿泊料がバカ高い。
一か月100万あっても足りない。
もし半年以上前に予約したら、選択肢はあったのかもしれない。
だが、急な展開で家探しに陥った私たちは、いつも高い部屋から選択するしかなかった。

考えた末、夫は、高速道路を使って、オークランド空港近くの家を押さえていた。
「しばらく登下校の苦労をかけるけど、早起きして車中で朝食をとって頑張ろうね」と娘に覚悟させていた。
しかし、嵐のため、またもや変更になった。
私たちはニュージーランドに来てから、余暇を楽しむ時間はいつもなかった。
家を探すことに一日の大半を費やし、結局、2泊だけ、近場のホテルに変えることが出来た。

ホテル内の最高値の部屋
(そう見えなかったが…)



ホテルに着くと支配人が、今すぐスーパーへGO!と言う。
今行かないと、食料がなくなる、と言う。


私と主人はともかく困難が多い。
だから、素直にその指示に従い、支配人に子どもを頼み(ニュージーランドでは低学年の子供の自宅待機は禁止)、買い出しに出かけた。


外は嵐であったが、私の心は弾んでいた。
今日からは二度と、誰かと一緒に暮らす生活はしない、と硬く心に決めていた。
買い出しですら、それが嬉しくて、「ワインが欲しいね」と私は少し、浮足立っていた。


清潔であれば、なんでもいい。
プールも、庭もいらない。
家族だけで、
家族だけで過ごせる家がいい。


心臓がドキドキしないで寝れること、
朝、安心して目覚めること、
どれも私が喉から手が出るほど欲しかったもの。

日本じゃ当たり前だけど


って、しつこいのだが、
朝、安心して起きられないと、人の尊厳が損なわれていく。
ひどくみじめになるのだ。
死にたくなるほどに。

これは、体験した人にしか分からない苦しみだと思う。


ともかくその夜は格別だった。
私たちはなんと、初めてテレビで映画を視聴した。
夫がVPN接続(インターネット上に仮想の専用線を設定し、特定の人のみが利用できる専用ネットワーク)を施し、ニュージーランドで視聴不可のAmazonプライムで、ナラティブ国重氏が薦めた「ペイ・フォワード」を見た。

ペイ・フォワード(Pay It Forward)


久しぶりの没入感。

ニュージーランドに居るのを「初めて」忘れられたー!!!
と、私は大満足の夜を過ごした。

だが、その翌日になると、神はまた、私たちに試練を与えた。
ニュージーランドで唯一通話ができる携帯電話が、どうしてかなぜか、ぶっ壊れたのである。


by桜子

Season2:ニュージーランドの家探し~短期移住9

「一か月でそこまで経験しましたか…。僕はここに30年いるけど、そんな経験したことがないなあ…」

colleagues having a conversation at an office
(イメージ写真)


と、NZ在住の方に、夫が今日、言われた。


で・す・よ・ね?



私はたまに思う。
もし出発前、こんな悲劇に襲われることを知っていたら、絶対にニュージーランドに来なかった
と。



「わたしがしていることは、今はあなたにはわからないが、あとでわかるようになります。」
(新約聖書ヨハネ13:7)と、数日前、父が私に言った。

そうかな?
そうかな?
と思ったが、

今日思った。

私は久しぶりに10時間、眠れた。

それで今、生きている。
あんなに苦しい思いを経験したのに、私は今、生きている。
なんだ、大したことないじゃないか、生きているんだから、と、ほんの少し思えた。





さて、本日の本題、ニュージーランド短期移住のきっかけの続きを書く。

<これまでのお話> 
=========================================
1月02日: 東京からオークランドへ。主人の友人宅に滞在するも、第3週に退去。
  22日: オークランド郊外へ脱出し、Airbnbの家に9泊。
  31日: 今夜の住まいが見つからず。
    1日になるまで残り8時間の所で、ジョンとエヴァの家が与えられる。

2月02日: キッチンの台を熱い鍋で焦がしてしまう。
  08日: ジョンが、キッチンの修理費用を3社見積中と言ってくる。
10日: ジョンが、私たちの宿泊費を修理費用に返金しないと言う。
    私は疲労困憊で涙が噴き出る。
=========================================

Season2:ニュージーランドの家探し~短期移住8の続き。

ニュージーランドに来てから、ともかく朝が辛い。

なぜ辛いかと言えば、希望がないからだ。
安心して暮らせる家がないと、人は希望を失う。
生活空間に、楽しみをつくり出せないと、外出か、早く夜が来て寝るしか、希望がない。

住み心地の悪い家に住むのが、人にとってどれほどの害悪か、嫌というほど学んだ。


私は目を覚ましたくなかった。
起きたら、現実と向き合わなくてはならない。
それでも娘の制服を洗ってやりたかった。
しばらくして、のろのろと起き上がり、階下の洗濯場へ行くと、ジョンが来た。

「今日来た修理業者、見積金が思いのほか安かったよ」と喜んでいる。

私は普段なら、ジョンが話しかけると、忠犬ハチ公みたいに、すべての作業をやめて傾聴したが、この日は違った。


(知らんがな・・・)
と思った。


(いくら見積が安かろうが、私たちが払ったお金は返さないんでしょ)
と思った。

そう思うと、もう正直に言ってやれ、という思いが出て、私は言った。


「来てからずっと、あなたの奥さん、怖かった。私が機嫌を良くしてもらいたい、と思って話しかけても…」と訴えると、またもや涙腺が潤んだ。


私たち家族は、どちらかと言えば綺麗好きだ。
埃だらけの家を滞在2日目には綺麗に掃除機をかけて、テーブルを拭いた。

満額の滞在費用を払い、光熱費も、共有スペースも、利用する権利があるのに、
節水して、遠慮して、我慢ばかりして、我慢ばかりして、と、思ったら、もう悲しくて泣けてきた。

すると驚いたことにジョンは、「僕でさえ、妻に手を焼いている…」と言う。

「昔は、彼女、ああいう人じゃなかったんだ。今は、分かるだろう?彼女の年齢だから。君がこの地で頑張っているように、エヴァは今、闘っているんだよ。農場とこことを行ったり来たりして、自分と闘っているんだ。」


要するに、更年期ってこと?


と私は思った。
が、家主が更年期でイライラしている、という情報は、さすがに私、分かんない!!!!
お手上げだった。



そして、ジョンは最後に、こういった。

「今日で、この家と最後なんだから、思いっきり素敵な日にしなくちゃね」

彼なりに、私に愛を送ってくれていたと思う。
そして、私も、「そうだね、そしたら今夜ステーキでも焼こうかな」と言ったが、
私はもう二度と台所で調理するのはごめんだった。

そして、それ以来、彼の姿を、二度と見なかった。



by桜子



ニュージーランドの朝

今、滞在中の家にある物干し

今日は晴天なり。
こちらの洗濯は、庭にある、この傘のような物干しで、洗濯物を干します。

洗濯ばさみについて、一言。
いろんな家の洗濯事情を拝見しましたが、洗濯ばさみがショボいです。
日本のが、たぶん、一番、ハイセンスで性能がいいように思います。

それで、今朝は新しい家で洗濯をしようとしたら、洗濯機から水があふれ出て床が浸水しました。
大家さんが今、うちに来ていて、修理を試みています。
直るでしょうか?

Season2:ニュージーランドの家探し~短期移住8

<家賃を返金しない大家>

1月にニュージーランドに来てから、英語力と生活力の経験値を同時に上げている私たち。

「ドラクエヒーローズ」レベル上げに最適なメタルスライムで経験値を稼ぐ #DQH | め〜んずスタジオ
懐かしのドラクエ風に

「また、2人で力を合わせる時が来ました」
と、戦いのゴングが鳴った。

金曜の夜10時、私がバスルームから出ると、夫は言った。

そして、家主エヴァとジョンからのメールを私に見せてきた。
そこには
「台所の修理費用に、あなたたちが払い過ぎた家賃1泊分、返しません」
とあった。

私の暖まった身体が一気に冷えていく。
そもそも、私が誤って一泊分を払ったのが、大馬鹿だったが、
私はこの家の居心地の悪さに耐え切れず、2月12日の日曜に退去する、と話していた。
それで、4月までの見込み金が入らない、と思った二人は、お金を返さないと主張してきていた。


夫は彼らのメールを私に見せてこう言った。
「この長文メールには後半、嘘ばかり書いてある。そこは無視していいから、冒頭の主張だけ読んで」
私は内心、ホッとした。
頭が疲れているとき、読まなくていい英文を指示されることは助かった。
これ以上、誰かの悪意を知りたくなかった。
もし知ったら、私の中の何かが壊れて、私は人間不信になりそうであった。


それで、ジョンと一階のリビングで夜23時過ぎまで話し合った。
最終的に、彼の主張を受け入れることを決めたが、彼は最後になると煮え切らなかった。

「明日、修理業者が来て見積がもっと高かったらまたその時に」
と言う。

私たちは家賃と修理費は分けて考えるべきで、まず家賃は返して、とお願いしたが、それは嫌だと言う。
だが、実のところ、私たちは保険に加入していて、場合によっては全額負担も可能であった。

私はジョンの目の前で、夫に日本語で「どうすることが、神様に喜ばれる選択なのかね」と言った。
どう対応するのがみんなの幸せになるか、わからなかった。
結局それでも、彼の主張を採用し、それでは明日、と流すと、ジョンは
「これで友達だ」
と、主人に握手を求めた。

それで、次に私の番になったが、私は頭が混乱して、たまらなくなり、声をあげて泣いた。
泣くつもりは全然なかった。
不覚だった。
しかし、気づくと、なぜかジョンが私を強く抱きしめ、背中をさする。

(抱きしめられるってどういうこと?)

と頭の中の嵐はなお、止まらず。


それでも、何か優しい気持ちがあるのか、話し合いは成功したのか、と考えた。

先月から続く、過多なストレスで、私の精神は極限に達し、涙腺は緩んでいた。
娘が私の声に驚いて、二階の寝室から一階に来ていた。


ああ、どうしよう。
何が何だか分からない。


けれど後で聞くと、夫が言うには
「ジョンも泣いてたよ。僕を泣かせるなよ、とか言って…」
とのことだった。



私は寝室で鼻をかみながら、
「それにしても、なんだろうね、ジョンは。こんな嘘のメールまで書いてきてさ…」
と言った。

しかし夫は、
「いや、それはもしかしたら、エヴァに書かされたのかもね」
と言った。



by桜子


chopping boards near oven under hood

Season2:ニュージーランドの家探し~短期移住7

私は日本にいたとき、家があるのは当たり前と思っていた。
家族だけで過ごすことを当然と思っていた。

「シェアハウスって、日本じゃ殆どないですからね」と、日本一毛刈りが速い男、大石駿FromNZは言った。
今回、家族だけで過ごせないことが、いかに苦しいか思い知った。
共同生活は、価値観が一緒の人がいい。そして、愛し合って暮らしたい。



2月8日(水)ジョンが台所の修理費を3社に見積中だ、と言ってきた。

2日に私がミスをし、修理に(Season2:ニュージーランドの家探し~短期移住6)220ドル、あるいはそれ以上、と言っている。農場経営をしているなら2万円は大した額ではないように思った。が、私は金額よりも、裏で彼が見積をしていたことがショックで、その日は、部屋に閉じこもって寝た。



2月9日(木)朝、目覚めた瞬間から胸の鼓動が激しい。

日本から持参して良かったベスト1は、漢方薬。
念のためにと、精神安定を処方してもらったが、1月から服用し、今や、娘の分まで消費してる。ガブガブ漢方薬だけ胃袋に一気に流しこんで、私の痩せた体はまだ戻らない。

このままじゃヤバイ、と、兼ねてから誘われていたドイツ人ママに、今日カフェいけるよ、と連絡をした。

ドイツ人のタンジェは背が高いショートヘアのドイツ人女性で、弁護士と言う。夫は税理士で、2人はドイツのパワーカップルだった。「でも、ニュージーランドじゃ、制度が違うから全然役に立たない」と彼女は笑った。

私はタンジェと2時間以上もカフェで話し合った。
タンジェもまた、友達の家に住んでいて、「友達なのに高額で貸し出されている」と言い、「友達なら普通、ただで住まわせない?」と言い、「この国の人って、とっても優しいけど、すぐお金を求めてくるよね」と言う。私と全く同じ価値観だったので、私たちは意気投合して盛り上がった。

それで、彼女の凄い所は、「この価格はおかしいから〇〇〇ドルにして」と友達に言った点だ。
「言いづらくない?」と私がおずおず尋ねたら、
「ドイツ人ってはっきり言うのよ」と、さらりと答えた。

彼らは2017年に駐在で来て、3年間過ごしたから、ニュージーランドは第二の故郷といった。
それで子供が合うか、試しに1ターム入学させに再来したのだ、と言う。
それは私たち夫婦とよく似ていて、私たちはお互いに苦労をシェアして慰めあった。

それで、台所の話をすると、弁護士らしく、「家屋の修理はNZ政府がこう言っているから」とリンクを送り、私にもし高く吹っ掛けられたら、おかしいよ、と助言してくれた。

私は相変わらず、家に帰ると、ジョンがいるから緊張した。
胸がドキドキ言う。
でも、主人と二人、この地で頑張らなくちゃ、と辛い胸の内はなるべく言わないように主人にさえ、自制した。
神様は私をなかなか休ませてはくれないが、タンジェの笑顔や、友情は、私にとって一服の清涼剤であった。そして、これもまた、神様からの贈り物に違いない、と感じていた。


by桜子


Season2:ニュージーランドの家探し~短期移住6

2月1日。
1月に同居生活で経験したトラウマか、エヴァの家に暮らし始めても、私の心は落ち着かなかった。

ジョジョの奇妙な冒険ならぬ、わが家の奇妙な冒険fromニュージーランド



娘が、「ママが自殺する夢を見た」と言った。

私は、そんな夢を見させてごめんね、と謝った。
まだ、死なない。まだ死ねないし。

でも、頭の中では何度か、そういう思考が頭を遮った。
私さえ死ねば、万事うまくいくのかな、と考えた。
愚かだと十分わかっている。
でも、そうすることが幸せにつながるような気がした。


いつも怒っている主人の友達や、
イライラするエヴァは、
私が死んだら何かがスッキリするのかな。
それで、死んだら、怒らなくなるのかな、と考えては消え、考えては消えてった。


そういうわけで、エヴァの家でも、私は大変慎重にして暮らすのだが、私はまたもや、失敗を一つする。

この家は、エヴァとジョンがお互いに農場の家を行き来し、交互に管理していた。
エヴァの日が2日続くと、次にジョンがやって来た。

ジョンは口笛を吹いて家の中を歩くような人で、私は、この人がホストを担当したんだろう、と考えた。
エヴァはハーブの畑でタバコを吸う女性だったが、ジョンは掃除機をかける人だった。
それで、ジョンの滞在中、わが娘の入学式に備え、日本米を慣れないキッチンで調理した。

その際、こちらの強い火力で鍋を焦がし、うっかり鍋を台に置いたら、その台が少し焦げてしまった。
主人はこれくらい大丈夫、と言ったが、ジョンは一生懸命こすって綺麗にし、実際の所、傷が3か所できてしまった。

その日の夜も、結局のところ、私はひどく落ち込んで眠った。

ああ、神様ってちっとも私を楽にさせてくれない。
と私はなんで自分がこのニュージーランドでこんなに苦労を強いられるのか、分からなかった。

あれもこれも、神のなさること、
と聖書にあるが、あまりにも、安らげる時間が少ない。



ああ、神様、どうしましょう、どうしましょう。
ああ、神様、助けてください、助けてください、

そうやって過ごす日々は、2月になっても続いた。
そして、夜、お布団に入るときだけが、私にとってすべてを忘れられる瞬間であった。


by桜子



追伸:こぼれ話

日本にいる人が、「よく神様に文句を言わないですね」と、私を想ってくださって、「無理しないよう、正直であれ」と助言を下さった。けれども、私はこのブログをかなり赤裸々に書いていて、不思議と神様を恨んでいない。
※今のところ

たぶんこれは、私は若い時に、たくさん天に唾を吐いて過ごしたため、神を憎むことは人にとって最大の間違い、と知っているせいだと思う。
とか言って、この先もしも、神様を憎むことや悲しませることを書いたらごめんなさい。