人間は毎日いろんなことを考える。
私も毎日いろんなことを考える。
それで、昨日は道すがら、「あー、私の人生、もっと面白くしたいなあー」
と思った。
それで、なにをどうすると人生は面白くなるか、ということを考えた。
3分後。
世の先達もきっと似たようなことを考えたはずだから、
その解は、本から学ぼう、と本屋へ行った。
それで、オノ・ヨーコ「ただの私(あたし) 」と
米投資家の自叙伝「冒険投資家ジム・ロジャーズ世界大発見」」を見つけ、
パラパラとめくって悩んだ結果、恋愛のオノ・ヨーコより、世界を旅したジムを選んだ。
今からジョンを探すのは難しいから、するならやっぱり旅かな、と考えたからである。
家に帰った。お部屋の明かりをつけたら、
ふだんは目に留まらない黒いピアノが、なぜか幽霊のようにボワっと急に浮き上がった。
このピアノは、私が子供の頃にワガママを言って買ってもらったピアノだ。
いまは全然触っていない。
だって、下手だし。弾くと音が大きいから、近所迷惑になるし。
そんなことを考えながら、私はハッとしたのである。
「このピアノ、もし私がちゃんと使っていたら、
私の人生に大きな彩りを与えてくれていたのではなかろうか?」
すると今度は、ピアノの上に置いてある人形が目についた。
この人形は子供のころ、父親が海外出張した折に買ってきたレアもので、
品番と証明書がついている。
お土産にもらった時は、確か父親が
「希少価値があるんだから大事にしなさい」と言ってくれたような気がする。
人形の顔は埃をかぶって真っ黒だった。
ガラスケースにでも入れておけば良かったと私は思った。
部屋の片隅にぽつんと置いてあるピアノと人形に、私は暗い気持ちになった。
せっかく与えられたものを大事にせず、
親にモノを無心した結果がこれかと思うと、ダメ人間に思えた。
と、同時に、
こういった過去のとっ散らかした一つ一つを大事に扱っていたら、
人生は変わっていたのではないか、と思った。
少なくともピアノが弾けたら、
人を楽しませることはできる。人生はちょっと面白くなる。
なにもオノ・ヨーコにならなくても、世界の旅に出かけなくても、
日常の細々としたことを丁寧にやっていったら、
人生は自然と面白くなっていくのではないか?
もしかしたら
与えられたことを大事にしていない結果、なのかも。
だとしたら・・・。
と、まあ、こんなことを考えた。