positive black woman talking to radio host

フィンランド式精神医療、オープンダイアローグ(開かれた対話)②

 私は渋谷区のオープンダイアローグ講座に来るまで、この言葉になじみがなく、直感的にピンと来て足を運んだ、会社員ママだ。スーダラ節の植木等よろしく、会社員たるもの「柳のごとく生きよ」と肝に銘じて、社内で目立たないようにしてひっそり働くワーママ(*)だ。                 *ワーキングマザーの略 
     
 そんな私が、月2回の週末(土日)をまるまるつぶし、12月まで続く全6回講座に興味を持った。日課である日曜の礼拝に出られなくなる。が、なぜか惹かれた。
 
 夫に、私の多忙を心配された(フィンランド式精神医療、オープンダイアローグ(開かれた対話)①)ので、初回に参加して、意味がないと思ったら2回目からは出ない約束をして、土曜に出かけていった。
 が、それは非常に良かった。私はいま、何かが身の上に起きている感覚を強く覚える。

オープンダイアローグとは、開かれた対話、と訳す。

 1980年代にフィンランドで生まれ、世界各国に現在広まっている考え方は、日本にいま上陸して大きなうねりを起こしている。私の講師は、森川すいめいさん、と言う精神科医だ。すいめい、という名は、本名か芸名か。最初なんだか怪しいと思ったが(すんません)、今、私は彼を好いている。彼はすごい人なのだ。私は彼を全く知らなかったが、参加者からNHKの番組を見た、と言う方がいて、有名人かもしれない。

 後で私が調べて分かったことは、彼の著書「感じるオープンダイアローグ」に略歴があり、2020年に国内の医師として初めて、オープンダイアローグのトレーナー資格をフィンランド本国で有した人とあったまだ2年前だよ!

 講座で聞いた話は、ヨーロッパの精神医療の現場から始まった。1980年以前、欧州の精神科病院では、患者は人として扱われず、医師から質問で病名が決まり、その後の患者の人生は医療制度に乗っかっていく、と言う。--ーこれは現代の精神医療でも同じではないか、と感じたが、私は精神医療に詳しくないので、ここでは割愛する。

 それで、フィンランド北部の精神科病院ケロプダスでは、医師が患者を人として扱い、対話(=オープンダイアローグ)を始めた。それまで、精神を病んだ人との会話を、医師は聞かなくてよい、聞いても(精神を病んでいるので)意味がないもの、とされていた。が、それらに耳を傾けて寄り添っていくと、症状が改善していったという。本によれば、この手法で精神を病んだ人たちの8割が回復とある。

病んだ人の8割が回復、と言うのは、本を読んで知ったが、それを知らず、私は歴史的背景を聞いた初日に、さっそくオープンダイアローグを実践した。

まず教わったのは、これだ。

 「二人ペアになる。まず、片方が5分話す。次に、もう片方が5分話す。おしまい。」

箇条書きにして書いてみよう。
 
1.相手にただ喋らせる。
2.自分は聞くだけ。質問NG。
3.次に自分が話す。相手にも同じようにただ黙ってきいていてもらう。

以上。


まずここまでの話だ。

が、先生の話を聞き、対話の練習をつみかさねていくと、次第に、頭の中がモヤモヤしてきた。
同時に、幾つもの疑問符が、生まれてきた。
…なんだ、このセミナーは?!なんだ、このゆるさは?私が普段受けている、ビジネスセミナーとまるで違うじゃないか!!!

(③へ続く)