日別アーカイブ: 2007年5月13日

誕生日を迎えたU子、コインの裏

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コインに表と裏があるように、物事には表と裏がある。

池で泳ぐ白鳥は、優雅に佇みながら、水面下では必死に水を掻いている。
刺繍の表は鮮やかだが、ひっくり返すと糸がぐちゃぐちゃに絡まっている。

そうしてみると、私たちの人生も、そのときは理解できず無駄に思えることが、
神様の目からみたとき、何一つ無駄はなくすべてが益となって描かれている、美しき人生模様なのである。

というわけで、誕生日を迎えたU子の話を、本日はちょっと裏の角度からみてみたい。

【誕生日を迎えたU子The Other Story】

お財布がない!!

営業途中、電車に乗ろうとしたその瞬間、空っぽのバックに気づく。
「どうしよう、!忘れた!!」
幸い、同僚がいた。彼女が言う。「一万円貸そうか?」

・・・一万円なんて借りたことがない高額だ。第一、お金は人から貸りてはいけない。(お金貸してドロン話はこちら ドロン話続編はココ

けれど、貸りないと電車にも乗れない。
これから取引先と3人でお食事も予定している。
電車賃と食事代で・・。「三千、いや四千円?うー・・・」と悩んでいたら、
「三千円も四千円も変わらない」と四千円を貸してくれた。

が、しかし。

今夜はどうしよう。よりによって、U子の誕生日祝いを密かに計画していた。
軽くご馳走するはずだったのに、これでは自分の食事もままならない。

複数からお金を借りて彼女にご馳走しようか、
いや、それも格好悪いしどうしよう、とぼんやり考えた。

昼食。

先方がご馳走してくれた。・・・助かった、千円浮いた。

タンゴショー。

入り口でドリンクの有無を聞かれる。ドリンク一杯千円。涼しい顔をして、二人分、支払う。
「連れて来てもらった上に奢ってもらっては申し訳ない」としきりに恐縮するU子。

(U子、大丈夫。もうこれしか奢れないの・・・)

ショーが終わった。携帯が鳴る。着信をみたら本日のチケットをくれたTくんだ。
U子を置いて、本日のお礼を言いにTくんの元へいく。

「これからどうするの?ご飯とか食べてく?俺、撤収があるから行けないけど、これ使って」
※Tくんはショーのプロデューサー

見ると、食事券だ。
「品川プリンスでしか使えないから、最上階にでも行くといい」

うわ、うれしい。
でも、ここで飛びつけなかった。申し訳ない気がして。

「いいよ、いらないよ」

「いや、使ってよ。今日までしか使えないし、これでなんか美味しいもの食べてよ」

押し問答が続いたのでありがたく頂くことにした。

が、

その日はタンゴショーの招待券を他の人にもプレゼントしていた。
なので、自分たちだけで使うのではなく、その人たちにも分けてあげようと考えた。
U子に事情を伝えて快諾を得、必死で携帯を鳴らした。RRRRR・・・

30回ぐらいかけてようやくつながったが、もう帰途という。

U子と二人、顔を見合わせた。
「しょうがない、じゃ、これ、使い切ろう!」と、心おきなく、トップオブシナガワ(品川プリンスの最上階)へ行くのである。

カップルやビジネス組がひっそりとお酒を飲んでいる中、私たちのテーブルだけ乗り切れないフードメニューが踊ってにぎやかだ。彼女が、しきりに悪い、悪いと繰り返す。そこで、初めて本日の所持金を打ち明けた。

自分がお財布を忘れたこと
奢るつもりが奢れなかったこと
けれども品川プリンスの最上階に今こうしていること

これすべて、神様が成してくださったことなのだ。

もちろん、そうしてくれたTくんにも感謝すると共に、
そのような全ての背後におられる主に感謝する。

“ねえ、私たちの人生もさ、これから先、辛いことはきっとたくさんあるけど、こうして今日みたいに、思いがけない形で助けられて、全てが備えられて、必要なものは与えられるんだね。”

彼女の新しい一年に最高のスタートをきった、タンゴナイトだった。