今年も会えたねぇ、と倉敷に住む大叔父が言った。
去年これで最後かと思ったけれど今年も会えた。娘と大叔父の歳の差は91。
眼を手術したばかりて、よく見えない。
そう大叔父は言ったが、自分の家にこんなに小さな子が来るのは初めてだと言って、喜んでくださった。
娘は終始おとなしくしていて、たまに歌い、たまに踊っては和やかな雰囲気を作り出していた。
べべにとって、2回目になる家族旅行。
ゆったり出かけて順調な滑り出し・・・
と思っていたのに、目的地の岡山駅で下車したら、
夫が「ねえ、お財布どこ!?」と言う。
「あ!?」
脳裏に、車内のゴミ回収袋にお財布を入れたままにした記憶がよみがえる。
「捨てた!!」
「え、どこに!?」
聞かれた瞬間、私が後ろの新幹線を見つめたら、夫がすぐにピンときて、三人でドラマの1シーンのように、くるりと踵を返して、今までいた新幹線に飛び乗った。
そして、ゴミ回収袋からお財布が出てきて、ホッと胸をなでおろし、40分以上かけて次の降車駅の広島駅に到着(涙)。
でも、お財布が見つかってよかった。見つからなかったら、すっかり落ち込んで旅行は台無しになっただろう。
ほんのちょっとのさじ加減で、旅は良いものになったり、悪いものになったりする。
大事に至らなかったことに神様へ心からの感謝を捧げ、再び広島から岡山へ向かう。