実家から虹!の電話。
慌てて空見て、娘に見せる。
彼女の人生初の虹。
虹は神様がくださった、約束の証なのだ。
ハチバースデートゥーユー♪
と、娘がいまさっき、私宛に書いてある、英語のHAPPYBIRTHDAYのカードをみて、
ハチバースデー!
ハチバースデー!
と言い、
ふぅっ!!
とロウソクを消す真似をしたから
夫、ビックリ!!
「なんで、読めんの?」
「なんで、ロウソクを消すとか、しってんの??」
「ちょっと、キモい!キモいよ、べべ!!」
と、驚愕して、本気で嫌がっていた。
娘は、初めて聞くであろう、キモい、に顔を傾けた。
…夫よ。気持ちは分かるが、
言葉使いが非常に俗っぽいわ。。。
娘には、けして学んでほしくない言い回しだ。
今日、私は40代にしっかと足を踏み入れた。
そうして、娘は来月16日で二歳になる。
現在、一歳十一カ月の彼女は驚異的な記憶力と語彙力を身につけながら、人間力が飛躍的に上昇してきた。
娘の成長と共に、私の加齢にも感謝して、また一年神様によろしくお願いしますと祈るのみである。
シルバーシートで、見知らぬ年配女性に話しかけられた。
子連れになってから、これはよくあること。
だが、今日はちょっと違っていた。
娘べべを見て、
「ねえ、バアバって言える?」「バアバ、って言って!」
と言われた(笑)。
命令形は、初めて。
私は「まだバアバって言ったことはないです」
(そもそも、実母は『さっちゃん』と呼ばせている。←言える)
とフォローしたが、
なんでも、お孫さんは全員男の子で大きくなったから
女の子からそう呼ばれたいと仰って、再び命令してくる。
うわ~困ったことになったな、と
内心、焦る思いでいたら、
「ばあば」
と、娘が言った。
もちろん、産まれて初めての単語(発言)だ。
「あ、言いました!初めて言いましたよ!」
と、私大喜び。
「ほんと、可愛い声で言ったわねえ」
と、おばさまも喜んだ。
べべ、グッジョブ。(=GOOD JOB)
「バアバはいいのよ。おばあちゃんにもそう言ってあげなさい。喜ぶわ~」
とのことだったが、実母は自らをバアバと言わないし、義母もしかり。
(ちなみに義母の呼び名はおばあちゃん)
ふうー
と、背もたれに寄りかかって、安堵のため息をこぼした。
鬼気迫っていて、ちょっと怖かったんだもの。
だけど、その後、しばらく私たち母子と語り合った後、
彼女はこう言った。
「ああ、今日は良かったわ。お会いできて、明るい気持ちになった。
空気がいっぺんに変わった。ありがとう」
と、私たちとの出会いを心から喜んでくださったふうであった。
そして、ご自分の状況を話し始められた。
「実はいま浴風園(老人ホーム)という所の帰りで、友人のお見舞いに行ったんだけど、認知症だったの・・・。
まあ、挨拶はしてくれたけれど、行って良かったのかどうかって、苦しかったの。」
あら、でもお見舞いだったら喜ばれましたでしょう!?
と私が言ったら、
「どうかしら?彼女は本当は私には会いたくなかったんじゃないかって。
今日だって、もしかしたら私のエゴだったんじゃないかって・・・」
かなり深い内面の話を告白してくださった。
こういうのを聞くと、励まさずにはいられない。
「でも・・・・結果はどうあれ、動機が愛だったから。だから、愛だったのなら、神様は良し、としてくださるんじゃないですかね。ほら『神は愛なり』って聖書にありますし!!」
と、超早口で巻き立てた。
というのも、私たちの下車駅に着いたからである。
我ながら、ちょっと強引な引用かなーと両目をつぶりたくなったけれど、
おばさまは、「いい言葉を聞いた」と喜んでくださって、
私の肩をたたきながら、さよならとドアに押しだしてくださった。
私はまた、どこかで又この方と会うこともあるかな、とぼんやり思い、
「いつかお会いするかもしれませんが」と言って、別れた。
私とべべの存在が見知らぬ誰かの役に立つとは思わなかった。
爽やかな気持ちで駅のホームに降りた。