チョウチョウのおかげで、葉っぱはどんどん川を下っていきます。
するとそれを、コガネムシが見つけました。
「おや、珍しい虫がいるぞ」
コガネムシは親指姫を捕まえると、森の奥へと連れて行ってしまいました。
おかげで親指姫は、森の奥で一人暮らしです。
親指姫は花のミツを食ベて、草にたまったつゆを飲んで、葉っぱにくるまって眠ります。
やがて冬がきて、空から雪が降ってきました。
「ああ、何て寒いのかしら」
寒さに震えながら歩いていた親指姫は、野ネズミの家を見つけました。
「あの、寒さで困っています。どうか、中へ入れてくれませんか?」
親指姫が声をかけると、野ネズミのおばさんが出てきて言いました。
「おやおや、かわいそうに。さあ、中はあったかいし、食ベ物もたくさんあるよ。遠慮せずに、いつまでもいるといいよ」
こうして親指姫は、野ネズミのおばさんと一緒に暮らす事になりました。
さて、野ネズミの家のさらに地面の奥には、お金持ちのモグラが住んでいました。
「なんて可愛い娘だろう」