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NZでナラティヴ・アプローチを率いる第一人者のYOU

A Japanese leader in narrative approach in New Zealand is gaining attention in the business world.

人生には心配の種がごろごろ転がっている。不安を訴えると、時に彼らは「メンタルが弱い」「ダメだ」と烙印を押されたり、本人も自己嫌悪に陥ることがある。

私はこれらの心配事に対して、「そうじゃないかも」と向き合い、「あなたが、あなたの人生の主人公だから」と応援する人をニュージーランドのハミルトンで見つけたので紹介する。

心理カウンセラーのルー大柴ならぬ、ナラティヴ国重。いや、これは私が裏で勝手に呼ぶあだ名で、正しくは国重浩一(59)と言い、ナラティヴ・アプローチ、或いはナラティヴ・セラピーの第一人者だ。近年、このキーワードはビジネスでも注目されている。

ナラティヴセラピーとは何か。ここでは「相手と話す際、敬意を示し、非難しないアプローチ」と捉えてくれれば良い。詳しくは、ナラティヴ・セラピーの会話術: ディスコースとエイジェンシーという視点amzn.toなど専門書を参照頂きたい。

 今日まで氏はニュージーランドを拠点に、多数のナラティヴ・セラピー関連書籍を執筆し、公開、実践されている。2019年には、クラウドファンディングの協力を経て、日本に「ナラティヴ実践協働研究センター」を設立。自身の後継者育成にも熱心で、従来、カウンセラーとは同僚に自分の技法を見せないが、彼はそのスキルを余すところなく公開実演。皆でより良い社会を目指す、それが国重流だ。

じゃあ、さっそくインタビューシリーズ「YOUは何しに〇〇へ」を始めよう!
(※NZで初のリモート取材)

Life has worries that roll around like marbles. Sometimes these people are stamped with “weak mental” or “worthless” labels, and even the person themselves can fall into self-loathing. Today, I found someone in Hamilton, NZ who faces these worries and encourages others by saying “It shouldn’t be that way” and “You are the protagonist of your own life.” He is a narrative therapist, named Hirokazu Kokushige (59). He is a leading figure in narrative therapy and approach. He has also been attracting attention in business in recent years.

What is Narrative Therapy? It can be understood as an approach where one shows respect and refrains from blaming when engaging in conversation with another. For more details, please refer to specialized books such as “Narrative Therapy: The Discourse and Agency of the Approach” .

Until today, Mr. Kunishige has been based in NZ and has authored numerous narrative therapy related books, shared them publicly, and put them into practice. In 2019, he established the “Narrative Practice Collaborative Research Center” in Japan through crowdfunding. He is also enthusiastic about cultivating his own successors and unlike traditional counselors who do not show their techniques to their colleagues, he openly demonstrates his skills. His approach aims to create a better society together, and that is the Kunishige-style. Today, I spoke with him in NZ.

Then let’s get started with my recently started interview series called ‘What brought you to ____?’ Let’s see what you came here for! (* First remote interview in NZ)”




桜子:
ちょっと私、緊張しています。なので、インタビュー前に少し遊んでみたいな。


国重:
いいですよ。どんな遊びをしますか?

桜子:
対話のプロを相手に恐れ多いんですけど、1分間リスニングワークをやらせてください。これって先手と後手、どちらがいい、ってありますか?

ここで解説しよう。リスニングワーク、とは、フィンランド式精神医療、オープンダイアローグ(開かれた対話)①の練習に用いる、聞く練習のこと。話すことと、聞くことを分ける対話のトレーニングの一種で、私はどちらが先に話すのが正解か、と常々疑問に思っていたことを尋ねた。

国重:
うーん。聞いた方が落ち着きます?それとも話した方が?僕はどっちでもいい。


桜子:
じゃあ、私は話す方が落ち着くから、先手。


ナラティヴの大家に対し、のっけから他の流派を用いるのは、表千家の家元に、裏千家を頼むようなもの。失礼も甚だしい。結果、これで逆にドツボにハマる。私は1分で緊張がほぐれず、あっという間に浩さんの番になった。


国重:
僕はリラックスしているんですけど、インタビューでどんな質問を考えてきたのかな、と興味を持っています。
なんか、すこし、自分が想像できないような質問を聞いてくれたら楽しいかな。…どう応えられるか、挑戦したいな。


桜子:
うっ、プレッシャーが増した…。あの、浩さんの本を読めば読むほど、対話のプロと話すって、こんな挑戦ないよな、と思ったんですよね。私にとっても、かなり挑戦です。


国重:
なんか一度ね、あれだけ時間かけて家族で会ったのに。(注:1月に夫と娘も連れて、家族全員で家にお邪魔した)会う前だったらね…


桜子:
ハハハ

国重:
話した後なのにな。だけど、緊張するんだな、と思っています。


桜子:
ハハハハハ。
じゃあ、今日のテーマ行こう。
すみません、私が考えてきたのは、Why you’re in New Zealand?と。なんで、あなたはニュージーランド(以下、NZと略す)に?と。こんな簡単な質問なんです。ナラティヴを少し勉強した私風に訳すと、“何があなたをNZに来させたのか?“。



浩さんは笑いもせず、真面目に回答した。1991年に1度、ワイカト大学院でナラティヴ・セラピーを学びに来て、日本へ帰国し、今回は2度目の滞在と言う。


桜子:
私がお伺いしたいのは、2度目の今、なぜあなたはNZにいるのか?と。


国重:
質問をありがとうございます。
教育的な側面が大きかったですね。子どもたちの進学です。2010年にニュージーランドに戻って来て、ハミルトンに住み始めたんですよ。(中学生の娘へ)聞き方も誘導的だったんですけど、“いま、受験勉強したいのか?”という話で(笑)。そりゃしたくない、と答える……かなと思ったんですが。


桜子:
ハハハ

国重:
だから、僕は最初は勉強したかったんですけど、どちらかと言えば、子供たちのためでしたね

それから13年の月日が流れ、結果どうだったかと尋ねると、浩さんは丁寧に子どもの状況をひとりひとり振り返り、「出来た」と評した。さて、今日の記事はこれでおしまいだ。読者の皆さんはきっと物足りない、と思ったかもしれない。

冒頭に書いた、「ナラティヴ・セラピー」「ナラティヴ・アプローチ」は何なのか、とか、不安の向き合い方など、もっと聞きたいことはあったかと思う。実際、私はこれで終わってはもったいない、とあれこれ質問した。

*なぜ、ナラティヴの『ヴ』は、『ブ』と書かないのか、どういう意味があるのか
*ニュージーランドと日本は何が違うのか、どうして日本は生きづらいのか
*どうして日本の企業は病んでいる人が多いのか
*子供がゲームをやることについてどう思うか

その中で、お互い、ゲームの話などは特に笑って、対話した。

しかしこの記事を書くと、主題とずれるので、それはいつか、ほかの時に載せることにして中身を取っておく。
今日のこの記事、中身ないよな、と思った方へ。最後にとっておきの情報を載せる。


桜子:
これブログに書いていいんですかね?


国重:
いいよ。


ニュージーランドのナラティヴ国重は、今年、日本に帰ってくるよ・・・!
ああ、私はとっても楽しみだ。
今度さらに交流が出来そうじゃないか。

ナラティヴ国重が日本で、これからどんな人生を送るのか、目が離せない。

by桜子



※国重さん関連記事


不安に耳を傾ける(金子書房@kanekoshobo)
(国重浩一:日本臨床心理士、ニュージーランド・カウンセラー協会員、ナラティヴ実践協働研究センター)
#不安との向き合い方 #note