赤ちゃん、ちょうだい

ゆうべ、近所の子供たちが赤ちゃんを見に来てくれた。

彼らはきよちゃんの子供たちで、病院にも一目散にかけつけてくれた。
どういうわけか、わが子の誕生をとても楽しみにしてくれていて、
妊娠中は私の大きなお腹をみてはうれしそうにし、子の名前については皆で考えてくれるなど、随分と出産を楽しみにしてくれていた。

中でも、最年少の小学四年の女の子は特別だ。
彼女は、姉2人に兄が1人いるせいか、ずっと年下が欲しかったようで、彼女が最も喜んでいるように見える。

しかしながら、生まれたての赤ん坊はしょっちゅう眠っている。
残念ながら昨日来て頂いたときも、赤ちゃんは眠っていた。
眠る赤ん坊をみても面白くないだろう、と私は思うのに、子供たちはみな嬉しそうに、しばらくジーッと眺めては、かわるがわる抱っこをして、子がちょっと動くと、「わー!わー!」とはしゃいでくれた。

ありがたいなあ、うれしいなあ、と思っていたら、
帰り際、一番下の女の子が、私に言った。

「ねえ、次産まれたら、赤ちゃん、ちょうだい!」

「え!?」

 ビックリした。
 私は即座に答えた。

「いま、あげるよ! 妹だと思って可愛がってよ!!」

 うん、と彼女は返事した。
 そして帰り際、彼女は言った。
 
 
「ねえ、赤ちゃん、連れて帰ってもいい!?」

 ビックリした。
 あげたくてもあげられないよ。

 だけど、むちゃくちゃ、嬉しいことを言ってくれるではないか。 
 この子もそんなことを言っていただいて、とても幸せだろう。

「そうだね、おっぱいが出るようになったら、連れて帰ってもいいよ」

と、私は言った。

彼女はちょっと悔しそうにはにかんだ。

「しばらく実家にいるからね、いつでも赤ちゃん見に来ていいよ」
と送り出して、私はとてもありがたかった。

一気にお姉さんとお兄さんが出来たのだ。嬉しい限りである。

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