誕生日を迎えたU子、コインの裏編

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コインに表と裏があるように、物事には表と裏がある。

池で泳ぐ白鳥は、優雅に佇みながら、水面下では必死に水を掻いている。
刺繍の表は鮮やかだが、ひっくり返すと糸がぐちゃぐちゃに絡まっている。

そうしてみると、私たちの人生も、そのときは理解できず無駄に思えることが、
神様の目からみたとき、何一つ無駄はなくすべてが益となって描かれている、美しき人生模様なのである。

というわけで、

先日の「誕生日を迎えたU子」、を本日はちょっと裏の角度からみてみたい。




【誕生日を迎えたU子The Other Story】

お財布がない!!


営業途中、電車に乗ろうとしたその瞬間、空っぽのバックに気づく。
「どうしよう、!忘れた!!」
幸い、同僚がいた。彼女が言う。「一万円貸そうか?」

・・・一万円なんて借りたことがない高額だ。第一、お金は人から貸りてはいけない。(お金貸してドロン話はこちら ドロン話続編はココ

けれど、貸りないと電車にも乗れない。
これから取引先と3人でお食事も予定している。
電車賃と食事代で・・。「三千、いや四千円?うー・・・」と悩んでいたら、
「三千円も四千円も変わらない」と四千円を貸してくれた。

が、しかし。


今夜はどうしよう。よりによって、U子の誕生日祝いを密かに計画していた。
軽くご馳走するはずだったのに、これでは自分の食事もままならない。

複数からお金を借りて彼女にご馳走しようか、
いや、それも格好悪いしどうしよう、とぼんやり考えた。


昼食。

先方がご馳走してくれた。・・・助かった、千円浮いた。


タンゴショー。

入り口でドリンクの有無を聞かれる。ドリンク一杯千円。涼しい顔をして、二人分、支払う。
「連れて来てもらった上に奢ってもらっては申し訳ない」としきりに恐縮するU子。

(U子、大丈夫。もうこれしか奢れないの・・・)

ショーが終わった。携帯が鳴る。着信をみたら本日のチケットをくれたTくんだ。
U子を置いて、本日のお礼を言いにいく。

「これからどうするの?ご飯とか食べてく?俺、撤収があるから行けないけど、これ使って」

見ると、食事券だ。
「品川プリンスでしか使えないから最上階にでも行くといい」

うわ、うれしい。
でも、ここで飛びつけなかった。

「いいよ、いらないよ」

「いや、使ってよ。今日までしか使えないし、これでなんか美味しいもの食べてよ」

押し問答が続いたのでありがたく頂くことにした。

が、

その日はタンゴショーの招待券を他の人にもプレゼントしていたので、その人たちにも還元したかった。U子に事情を伝えて快諾を得、必死で携帯を鳴らした。RRRRR・・・

30回ぐらいかけてようやくつながったが、もう帰途だった。


U子と二人、顔を見合わせ、
「しょうがない、じゃ、これ、使い切ろう!」と、心おきなく、トップオブシナガワ(品川プリンスの最上階)へ行くのである。

カップルやビジネス組がひっそりとお酒を飲んでいる中、私たちのテーブルだけ乗り切れないフードメニューが踊ってにぎやかだ。彼女が、しきりに悪い、悪いと繰り返す。そこで、初めて本日の所持金を打ち明けた。

自分がお財布を忘れたこと
奢るつもりが奢れなかったこと
けれども品川プリンスの最上階に今こうしていること

これすべて、神様が成してくださったことなのだ。

もちろん、そうしてくれたTくんにも感謝すると共に、
そのような全ての背後におられる主に感謝する。

“ねえ、私たちの人生もさ、これから先、辛いことはきっとたくさんあるけど、こうして今日みたいに、思いがけない形で助けられて、全てが備えられて、必要なものは与えられるんだね。”

彼女の新しい一年に最高のスタートをきった、タンゴナイトだった。

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