卒園式(1)

生まれて初めて「卒園式」に参加した。
ついに来た!信じられない。あっという間の4年間、とうとうここまで来れた、という感じだ。


さて、うちの娘は、卒園式を数日前からずっと心待ちにしていた。
それは、綺麗な服でお洒落ができる、というのがとても嬉しかったようである。

一カ月前の私は、娘が着たいというピンクのドレスを、保育園(幼児)の式だから好きなもので良かろう、という考えだった。
が、日が近づくにつれ、「卒園式」とは正式な式典で、ブラックフォーマルを最上級の服として、そこから各自がトーンダウンするのが基本の装い、と気づいた私は(ママもしかり。「スーツに合わせるストッキングの色」も、肌色に近いベージュを履くのがマナー)慌てて、娘には濃紺ワンピに白いブラウス、そして、オフホワイトのジャケットを着させ、胸に母親から借りたコサージュを飾って、革靴を履かせた。

実際、行ってみたら、子供はやはりフォーマルが多く、親もたいてい、その通りになっていて、マナーを守っていない人(特にパパ)もいたが、他人はともかく、大事なのは自分が気持ちよく過ごせるかどうかだ。
ファッションはときに、場を盛り上げる役割もあるので、私はTPOに合った紺のパンツスーツとパールのネックレスをつけて、気分が良かった。

次に、髪型である。娘にはハレのヘアスタイルにしてあげたい。

インターネットで編み込みなどの簡単と呼ばれるヘアスタイルが沢山あったが、当日に試してみたら出来ないこと、この上ないので、結局いつもやっている髪型にして、髪飾りをつけてあげた。

つまり、頭の両サイドの髪を少しすくって、結んで、ねじって、最後に一か所スワロフスキーみたいな光る石が1つついているUピンを指して、特別なのは、ホットカーラーで髪を巻いたこと。
(この長たらしい文章も、あとで振り返ったら、きっと懐かしくなるだろう)

いやー、女の子のママは大変だわー、と思いながら30分以上経過して、これから小学校でも娘の髪を結び続ける自分を想像し、かつて私も母親によく結わえてもらった、と回顧した。

で、肝心の卒園式だが!

部屋に入った瞬間、桜の匂いがするような、優しい空気に包まれた。正面を見たら何人かのママたちが私に寄ってきて、「ねえねえ、どれが自分の子が描いた絵かわかる?」と言ったこの瞬間から、胸がいっぱいになった。

この、ママたちとの出会いは、娘がくれた。
ママ友、という初の人種に、かつてよく悩んだものだが、結局のところ、何も問題は生まれなかった。

子供達、一人一人が自分で書いたという似顔絵(冒頭の写真)を眺め、
卒園式は私にしてみたら、娘よありがとう、の一言に尽きる。

べべ(仮称)が生まれて、私たち夫婦の朝には、眩しい生命力が満ち溢れるようになった。

子供は宝である。