その37:リアルコムテクノロジー「石川雄樹」氏

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**      ****・IT業界で働く、VIVA! 桜子の超気まま日記・****      **
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■「桜子の部屋、お友達の輪その37」編                         VOL.188
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              リアルコムテクノロジー
P1000196.JPG geek、石川雄樹氏

 7月からの連続インタビューも余すところあとお2方になりました。ここで、実際に
ガレージにオフィスを構えてお仕事をしていらっしゃる、桜子と年頃も近いリアル
コムテクノロジーの石川氏に、お話を伺いました。
上場間近の同社の概要はこちら
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★石川雄樹さんの簡単なプロフィール
 1972年生まれ、一橋大学経済学部卒業。詳しい話は文中にて!

★桜子が勝手に選ぶ、石川雄樹語録
・面接でうちの社長に「プロジェクトXがやりたいんです」と言った
・オタクです。
・だったら死んだほうがましだなというのが衝動としてあるんです

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■まずはお仕事の話

桜子 :シリコンバレーで開発をやるメリットは何ですか?

石川氏:来たばかりの頃は差がたくさんあって、すぐ言えたんです。でも今はこっち
    が当たり前になってしまったのでなかなか出てこない、それぐらい違うんで
    すよね、もう思い起こせないぐらい。
    ネット上のハイテク情報って、最新情報は日本とシリコンバレーでタイムラ
    グがないんですよ。メジャーどころで出るニュースは大体すぐ日本語で翻訳
    されるし、英語でだって読めるじゃないですか。
    そうじゃなくて、現地で実際にそれをやっている人から伝わってくる、草の
    根の情報や空気、流れとか、そう言うものが違うかも。
    「え?あんなすごいことをやってるのが、今目の前にいるアナタ?」みたい
    な。
    iPhoneの行列を待ちながらグーグルのエンジニアと並んで話す、雑談ができ
    る。それでみんなワクワクしながら並ぶみたいなことが普段起こるんです。
    日本にいてエンジニアをやっているのと全く視点が違う。

桜子 :刺激がありますよね。

石川氏:刺激と言ってしまうと何か消極的な感じなんだけれども、もっと・・・プラ
    スの新しい、もっとよいもの。何となく自分から何か生み出そうという気が
    湧いてくる。
    僕が約1年前にここに来て、1カ月ぐらい言われ続けた言葉なんですけれど
    『発電所と変電所の違い』と言われたんです。電力を受け取って変電して流
    すだけという変電所と、自分からパワーを生み出す発電所は全然違うと。
    「今から君が半年ここにいて半年後に発電所になっていなかったら何かおか
    しい」と言われ、ああそうかと思ったんです。
    実際1年いて、まあまあ発電量はともかくチェンジはできたかなと自分では
    思っていて。小さい電力でも変電所と発電所というのは多分全然存在として
    違うんです。そういう違いがエンジニアという職種をしているときに明らか
    に違う。

桜子 :痛切に感じる?

石川氏:多分世界中で・・・。(頷く)居るだけで、というつもりはないんですけれ
    ども、居るだけでそっちへ人がチェンジするチャンスが普通にあふれている
    場所は多分このエリアだけだと思うんです。だからそういう意味の大きな、
    それが最大のメリットです。そこから全てが始まって、どこにいようが、そ
    ういう立場で開発チームをマネージすると、やっぱり全然違うんですよね。

桜子 :石川さんはご家族と来られたのですか。

石川氏:単独で来ました。1年は単身赴任でした。アメリカに留学したことないし、
    出張でしか来たことなくて、友達も家族もいないところによくも放り出して
    くれたよなと思いましたよね。

桜子 :でも行きたかったんでしょう?

石川氏:気持ちは行きたかったけれど、それにしても最初は辛かったです。

桜子 :ここに来られたきっかけは?

石川氏:行きたがっていたことと、社内のエンジニアでは最も古株なこと、あとサバ
    イバルが得意だというのが多分あったと思うんです。一人でどこに放り出し
    ても勝手に、でも、会社から見てぶれずに自分で切り開いていけそうという
    か。

■石川さんって、どんな人(1)

桜子 :略歴を簡単にお話しいただけますか。

石川氏:一橋大卒業後、友達は金融機関や商社、メーカー等へ行ったんですが、97年
    はWindows95が出てすぐインターネットも爆発しかかってる頃で、IT系は面
    白くなりそうだなと思ってNTTデータに入ったんです。
    主に金融事業部でSEだったんですが、金融のお客さんの仕事でありながら、
    それこそシリコンバレーとインドと日本の3ヵ所を横断するような、プロジ
    ェクトのリーダーだったんです。その後3年でいろいろ感じるところがあっ
    て辞め、リアルコムに転職しました。
    NTTデータは1万人の会社ですごく砂粒(すなつぶ)感があったので(笑)
    ここにいたらいつまでも砂粒だ!と思って、10人そこそこのスタートアップ
    に転職したんですね。すぐつぶれると思ったらアメリカまで来ちゃった(笑)

桜子 :そこ(リアルコム)に決めた理由って何ですか。

石川氏:今でも言われるんだけれど、その当時2001年って『プロジェクトX(※)』
    が流行っていたでしょう?(※NHKの番組名)
    面接でうちの社長に「プロジェクトXがやりたいんです」と言ったら、すぐ
    採用されて、あまりにもそれが--

桜子 :はまったんだ?

石川氏:( ゚∇゚)。_。)(うん)
    それがはまってしまって、入って、実際本当にお腹いっぱいなぐらい『プロ
    ジェクトX』をやっていますね。入社して1年半、会社も20人そこそこ、製
    品もまだまだ未熟な頃に、日本でもっとも要求が厳しいと思われる数万人規
    模の全社員が使うことになったりとか。
    そういう経験をさせてもらって、なんか会社も今まで残ってしまってそこそ
    この規模になってきているところです。

桜子 :それがリアルコムですか?

石川氏:リアルコムです。それでうちの社長と、次はアメリカが相手だよね、みたい
    なことを言って、単純なので、それで来ていると(笑)。
    物事は「新しく起こすこと」と「維持」の2つがあるじゃないですか。僕の
    タイプとして、どっちかというと維持をやると失敗するんですよ。維持をや
    ると全然駄目で・・・遅れて来るとかね(笑)
    (※この日は待ち合わせの時間に石川氏が遅刻されました(^^;))

桜子 :ところで、発電所という話がでましたが、ご自身が発電所になって、ビジネ
    スに対する姿勢は変わりましたか。

石川氏:多分変わったと思います。それは、でも、今の自分は1つしかないのであま
    り比べられないんですけれど、こっちに来なかったら良い意味で、こんなこ
    とやってなかったな、ということばかりやっていたので。
    こんな仕事はできなかった、こんな結果は残せなかった、みたいなことが1
    年位で結構起こっているんです。

桜子 :もし日本にいたら同じようなものはできなかった?

石川氏:できなかった。それは自分の変化もあるんです。

桜子 :ご自分の何?

石川氏:これは思いつかなかったなとか、思いついてもできなかったなというのは、
    あるんですよ。縛られていたりとか、あとは忙殺されていたりとか、本筋じ
    ゃないものに、忙殺されるとか。

桜子 :石川さん自身の話ですが、将来の夢は何ですか。

石川氏:今は会社の夢と僕の夢は一致していて、エンタープライズでもいいですけれ
    ども、ソフトウエアでホンダ、ソニーになるというので一致しているんです。
    それは多分リアルコムから離れたとしてもそれをやると思うので、そういう
    意味ではまあその辺かな。

桜子 :今のうちにサインをいただいたほうがいいのかな。

石川氏:言うのはただなんです(笑)

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ガレージだよ。

■さらに突っ込んで石川さんの話を伺う

桜子 :話は戻りますけれど、データを辞めて入られたじゃないですか?
    私が言うのもなんですが、NTTグループって入ると安泰みたいなところがある
    じゃないですか。辞めることへの迷いはありませんでしたか?一橋大という有
    名大学を出られて安定した道が約束されていそうですよね。

石川氏:そうかもしれませんね。

桜子 :楽な部分はありますよね。

石川氏:その頃はちゃんと気づいてなかったんだけれど、その楽なのが嫌なんだよ。

桜子 :その頃は気づいてなかったんですか?

石川氏:その頃は楽なのが嫌な自分に気づいていなかった。挑戦したいとか、どんど
    ん変化したいとか、新しいことをどんどんやりたいとか、そういう人間なの
    ね。その頃はそこまで自分に気づいていなかったんだけれど、砂粒感という
    のは多分それで、当時1万人いたから、1万人の中の砂粒感というのは変化
    を起こせないじゃない?大きい変化はなかなか。そこに自分の本質とか齟齬
    (そご)があったんだろうと。だからあまり迷いとかはなかった。

■では転職先はどんなとこ?

     
石川氏:僕がうちの社長で尊敬していることがあって、彼は毎年、年の初めにおみく
    じを引くのね。毎年、毎年、大吉が出る。「今年も大吉が出ました」って、
    言うのね、大吉が出るまで神社に行ってるの。

桜子 :あはは(^∀^)なるほど。

石川氏:ちょっと聞くとネタっぽい話だけど、成功するまでやめないというアントレ
    プレナー精神の本質がみえる。

   mr.ishikawa.jpg

■石川さんってどんな人(2)

桜子 :では次ですが、ご自分の中で座右の銘もしくは好きな言葉は?

石川氏:あるんだけれど何か照れくさいかもしれない。

桜子 :そこを何とか。

石川氏:あれは知ってます?「ロッキー・ホラー・ショー」という映画。大学の時に
    見て、当時の彼女に、これ、オレの座右の銘にしたい、と言ったら、
    「随分望みが高いね」と言われたんだけど“Don’t dream, be it”と言うのが
    あるんです。それがそうかもしれない。

桜子 :なるほど。では、次。NTTデータを辞めたのが1つの転機かとおもいますが、
    それ以外で何かこれが自分を変えたという出来事を教えてください。

石川氏:変えたかどうかはわからないんだけれど、最近自分をつくっているなと思っ
    ているのはいろいろな日本のアニメの熱血系。

桜子 :漫画は結構多いと思うので・・・。

石川氏:それこそ僕の世代だったらガンダムのいろいろな●●とか。
    僕の世代だと多分当たり前なんで、特にエンジニア系は、あまり珍しくない
    んだけれど。

桜子 :・・・オタクと言われたりしませんか。

石川氏:オタクです。(゚▽゚*)

桜子 :はい、わかりました。(゚▽゚;)

■ちょっと恋愛系話を

桜子 :以前私のコラムで技術系男性モテ作戦の話を書いたら反響があったんですけ
    れど、どうやって奥様とお知り合いに?

石川氏:高校の同級生なんですよ。だけど付き合ったりしたのは社会人の20代後半か
    らで、高校のときは気持ち悪いオタクだと思われていたみたい。今でも言う
    からね、あはは(笑)

桜子 :多忙で家庭の時間がとれないと思うんですけれども、どうでしょう?

石川氏:03年のプロジェクトXのときは第1子がちょうど生まれる最中で結構大変で
    した。

桜子 ;そういうときは健康面も大事なときですよね。

石川氏:この3年ぐらいはジョギングを結構していて。大体、夜に5キロぐらいうち
    の周りを走ってます。

桜子 :やっぱり、やる前とやった後では違いますか?

石川氏:違いますね。いろいろなことって、走っている間に思いつくので。

■石川さんってどんな人(3)

桜子 :では、落ち込んだときに自分を元気づける言葉や出来事を。多分辛いときは
    誰でもあるので。

石川氏:どんなにつらくても、大体頑張っていると晴れるんだよね。頑張っていれば
    好転する。落ちっ放しということがないということは経験でわかっているの
    で。

桜子 :それは夢があるからですか?支えているものは何ですか。
    だってそこでやめることだってできるし、手を抜こうとか、スローダウンし
    ようかどうしようかと迷われるときがあると思うんですよ。

石川氏:それは多分データを辞めたときの衝動と同じなんだけれど、自分はとまった
    方が落ちちゃう、立ちどまったりあきらめたりすることが、社長の話だった
    ら、今年は中吉でいいかなと思うことが、自分にとって最悪なの。

桜子 :そう思わずにいつまでも、みたいな?

石川氏:それが本当に、だったら死んだほうがましだなというのが衝動としてあるん
    です。それが大きいかもしれないですね。

桜子 :さっき将来の夢を聞きました。今34ということですが、30代後半にはどうな
    っていたいというご自分の姿は?

石川氏:自分で何かやっていたいかもしれない。

桜子 :事業を起こす・・・。なぜ、それをやりたいんですか。

石川氏:何したい、あれしたい、こうしたいじゃなくて、モチベーションレベルでは
    深いところではそれが一番自己表現というか、それ以外の自己表現がないよ
    うな気がしていて。

桜子 :変な話ですけれど、お金が欲しいとか、そういうのではない?

石川氏:「もし成功してお金を得たら何をする?」っていうのを、こっちに来て、半
    分冗談で話したんです。僕は、半年ぐらいは好きなだけガンダムのプラモデ
    ルをつくっているといったのに、片や一緒に話している女の子が、森を買っ
    て自然保護をするとか言ってるのに比べてすごいレベルが低かったのね(笑)
    もしお金ができたら、お金をつくりたい目的があるとしたら、何かちょっと
    でもいいから日本のために使いたいという気持ちに本気でなってきたの。

桜子 :それは何なんですかね。

石川氏:やっぱりアメリカにいて、離れて、アイデンティティとかがはっきりするん
    でしょうね、それは気持ちの上ですよ。お金がもし欲しいか?と言われたら
    そういうことをしたいと思います。

桜子 :これは聞いてほしいと周囲に言われたんですけれども、読者の人から、シリ
    コンバレーに来て儲かりますか?と。

石川氏:チャンスはびっくりするぐらいある。

桜子 :それは金銭の?

石川氏:そうですね。金銭につながるチャンス。あとエンジニアの給料はえらい高い
    ね、いい人は1000万ぐらいから。

桜子 :力がある人はこっちに来たほうがいいですよね。

石川氏:絶対いいです。

■あと2問。

桜子 :石川さんにとってお仕事とは何ですか。

石川氏:お仕事って会社の仕事だよね。自己表現、自分そのものというか、
    生きている=仕事をしている感じかな。

桜子 :人生とは○○である?○○を直感で埋めるとしたら?

石川氏:挑戦。人生とは挑戦である。

桜子 :5秒以内でできたのは初めてです!
    大抵50秒は要るかな位の感じなんですけれど。ありがとうございました。
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こちらの生活が本当に楽しく充実していらっしゃる様子が伝わってきた石川氏。とは
いえ、日米での仕事は、時差があるためしばしば寝不足気味になられておられるご様
子。くれぐれもワークライフバランスには気をつけてくださいね。(^^)/

by桜子

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お披露目くださってありがとうございました↑