Bad Moms

サンノゼ滞在5日目は、舞台をNYに移す。
ちなみにNY行の発令は、義父の亡くなった夜に受け、腰が抜けそうだった。
うちの夫は、「そんなふうにして君の会社はトップから命令が降りるの?」
と目を白黒させていたが、私は「初めて・・・」と呟くのが精いっぱいであった。
(※一応会社を援護しておくと、上は私の状況を全く知らなかったと推測する)

まあ、そんなわけで、この日は朝から夜まで1日かけてNYに移動する。

慎重な同僚が、早めにでましょう、というので従ったら、
6時40分には空港についてしまった。
おまけに飛行機が遅延し、出発は11時半です、と言われた瞬間、
同僚は「さすがに疲れた・・・」と、がっくり肩を落とした。

一方、私は
「いいじゃん、PCがあるんだから!仕事して待とう!」
と優等生なセリフを吐いたが、すぐ眠くなってソファで寝た。
ともかく、出張は睡眠不足との戦いで、私はサンノゼ滞在中に心が休まるときは
まったくなかった。

でも、明日は土日である。やっと休んでいいと言われる日だし、
そろそろ気を抜かないと、胃に穴が開く、と思った。

それで、機内では初めて映画を観た。
前置き長くなったが、それが「Bad Moms」である。

これは、ワーキングマザーが主役のコメディで、仕事と育児の両立の大変さを描写しながら、ワーキングマザーがもういいお母さんを演じるのは止めた、とクレイジーなママらとバカ騒ぎをするのだが、後半になって「完璧なママになれない」と主人公が叫ぶと、涙がでてしまい、あろうことか、ティッシュが手放せなくなってしまった。

実は、サンノゼに居たとき私は四六時中会社のことを考えていたせいで、あろうことか、子供のことを忘れた。信じがたい事実で、私は非常にショックだった。ついでにお祈りも忘れていた。朝起きたら、ともかく動かなくては、とネズミみたいだった。(実働はともかくとして)
同時に、世にある家庭を顧みないビジネスマンの心境も分かった。

しかしながら、私は家庭を第一としたいビジネスウーマンであり、
復職以来働き方を模索していたが、ぜったいにフルタイムは向いていないと考えさせられた。
それは、子供を忘れ、仕事(自分)に夢中になる性質があると気づいたからである。

「こんなお母さんでいいのかな?」
の映画のセリフは、まさに私に寄り添う言葉であり、機外にNYのキラキラした夜景が広がり始めると、「なんで私、ここにいるんだろう?」と、不思議な導きにまた涙を覚えた。

けれども、同時に聖書の言葉が浮かんできて、
“このことはわたしからきた”
を思い出すと、思い煩うのはもう止めるべき、と思った。
すべてをゆだね、上を見上げる決心が、後半になってやっとついた。

ニューアーク空港着。タクシーより安いウーバをここでも使って、市内へ向かう。価格は48ドル。