交通事故

交通事故に遭った。

 

近所で買い物を済ませて自転車を漕いでいたら、
目の前で同じく自転車を走らせていた女性が急停止して、
よけきれなかった。
私は、彼女の自転車後輪に、勢いよくぶつかった。

 

ゴムマリが跳ねるがごとく、

ドンっと一瞬跳ねて、

ハンドルを握ったまま、真横に倒れた(ような気がする)。

 

“事故に遭った瞬間はスローモーションのようになるよ”

 

という話は本当で、倒れた瞬間に尾?骨を打撲した私は
『しまった、このままではやられる』と思った通りにやられた。
一番心配していた頭をコンクリートの地面に打ちつけたのである。

 

 

 

ゴチン、という音がした。

 

 

 

ヤバイ。

 

 

 

突然の事故に私は思考が停止してしまい、
倒れた後も人形のようにハンドルを握ったまま固まっていたら、
ぶつかった人が大丈夫かと駆け寄ってきたばかりでなく、
衝突音がひどかったのか、路面店(蕎麦屋)からも人が出てきて、
私の頭上で、おじさんやおばさんのワイワイ騒ぐ声が聞こえた。

大丈夫か、とか、子供がぶつかったかと思った、とか。

 

うっすらぶつかった人を見たら、
そばには中学1年生(推定)の男の子がいて、親子だとわかった。
相手は倒れていなかった。

 

倒れながら、今日はズボンを穿いててよかったと思った。

 

周囲が一生懸命に身体を起こそうと私の両脇を捕まえる。
身体が痛かった私はしばらく寝かせてくれ、と内心訴えていたのだが、
ふとここで自分が起きないと全員この場から立ち去れないという、
I am 主人公状態に気がついて、やむなく起き上がる決心をした。
正直言って立ち上がった時はくらくらした。
だけど私が落ち込んでると空気が悪いので、大丈夫ですよ、と言った。

ぶつかった女性がすまなそうにする姿を見て、
こういう事故ではむやみに謝っちゃいけないんだよなあ、
と思いながらも、「いや、たぶん、私が悪いです・・・」と小さい声で言った。

 

あとで、その話を知りあいに言ったら、
「すぐいい子ぶるんだから。バカ」
と怒鳴られた。

話は脱線するが、いい子ぶったのではなく、
自転車は自転車道があるわけではないから、ぶつかった私が悪い気がした。
謝るのはやっぱりバカだったろうか。そうだよな、やっぱりバカかな。

 

話を戻す。

 

結局、起こされた私は、女の人に「何かあったら連絡を」と紙を渡され、
「いらないですよ」「私が悪いとおもう・・・」などと言って、お互いにイエイエ、
などと押し問答をしていたら、騒動をみていたおじさんが仲介に入って、
「あんたも名前を言いなさい」だの、
「その紙、もらっといた方がええ。何があるかわからないからね」
というので、私はそうですか、と言ってそれをもらった。

 

世の中というのはこういう親切な人で成り立っているな、などと思いながら、
なんだかんだで家に帰ったら、その夜、熱が出た。
その場で救急車を呼ぶ機転がなかったことを少し悔やみながら、死ぬことを考えた。

日ごろ神様へ早く天国へ行きたい、と訴えている身としては、
助けてください、とは絶対に言えない。
なるようになれ、と、思った。 (=都合良く言うと、委ねる)

 

 

一応、親が悲しんだら困ると思ったので、わが人生に悔いなし、と遺言を伝えたら、
「そうね、(あなたは)確かにそうだと思うわ」と母親にカラリと返された。

 

 

それから数日だるかったり歩行困難が続いているが、どうやら大丈夫な模様。
いや、びっくりした。

(というわけで、もう大丈夫です。ご心配なく)

 

追伸:それでこの日記の一週間後にでも脳溢血で倒れたとしたらそれもドラマな気がするのですが、その場合はもちろん、わが人生に悔いなし、で(笑)。