岡山県倉敷市の旅の続き。
珈琲でも飲んで帰ろうか、というときにO夫人が橋のふもとに佇んでいた男性から声をかけられた。要するに、景観について教えてくれたのである。だが、これがきっかけで男性は大原美術館のうんちくを語りだし、「おたくらに、俺が10年かけて蓄積してきた知識を全部教えてあげる!!」と言って、私たちをあちこちへ連れまわし始めたのである。いや、連れまわして頂いた、というべきか?
★その証拠動画はこちら(ガイドの様子)
(確かにその知識たるや10年以上の知識である)
迎賓館
大原邸
そして要所要所で私が持っていたカメラを要求して、私たちの写真を(お願いしてもいないのに)バシバシ撮ってくださった。
ガイドを聞いていると、途中で白髪の大原氏が通りかかって、「あの方が大原氏だよ」と教えていただいたりもした。
ご厚意は大変、ありがたかった。
だが、私たちは内心思っていた。このガイドはいつ終わるのだろう?と。
(※実は全員がそのように不安に感じていたことは後で判明した)
時間は既に30分以上たっていた。
ロックフェラーが立ち寄った名店とか、この奥にポルシェがあるとか、その話は確かに驚いたり面白かったりするのだが、私たちは今朝からずっと歩きっぱなしだった。
それで写真を撮りますと言われると、母や私は言われた通り動いていたのだが、ついに被写体になるのに疲れたO夫人が、「もう(私は)いいわ」と言った瞬間、彼が言った。
「そこに立て!!!」
ビックリである。
私たちはぷーっ、と一斉に吹き出した。
「なんで命令されるの!?」
笑いが、疲れと共におなかの底から一気に込み上げた。ゲラゲラ笑った。今書いてても笑ってしまう。笑い過ぎてヒーヒー言いながら、流れに身を任せる雰囲気になって、結局1時間ぐらい歩いた。
最後、この方が「500円をくれないか?」と仰ったので支払って終わった。
なんだ、そういうこと?と思ったのだが、金額が僅か時給500円だ。首をかしげた。どうしてガイドをしてくれたのか。
皆でいろいろ考えた結果、母が「もしかしたら、あのセリフは一人当たり500円という意味だったのかしら!?」と言うではないか。
ハッと皆で顔を見合わせた。
だが〝確かにあの人は『コーヒー代に500円くれない?』と言った〝と私が
言うと、
「よかったー、コーヒー代なら500円よね」
「そうよー」
「じゃあ、だいじょうぶね、よかったー」
と言うので、全員でハハハ、ハハハ、と笑い合った。
お土産話をたくさん頂いて、素敵な思い出がまた一つ増えた。