おやゆび姫(1) アンデルセン童話

むかしむかし、一人ぼっちの女の人が、魔法使いにお願いしました。

「わたしには、子どもがいません。
小さくてもかまわないので、可愛い女の子が欲しいのです」

 すると魔法使いは、種を一粒くれました。
「これを育てれば、願いがかなうだろう」

 女の人が種をまくと、たちまち芽が出てつぼみが一つふくらみました。

「まあ、何てきれいなつぼみでしょう」

 女の人が思わずキスをすると、つぼみが開きました。
 すると、どうでしょう。そのつぼみの中に小さな女の子が座っていたのです。

 

 女の人は、その女の子にキスをしました。
「はじめまして。あなたの名前は、親指姫よ」