あと一つで虎ノ門駅というところで、地下鉄が停まり、銀座駅で火災消火活動中というアナウンスが流れた。
会社の上司に遅刻する、とメールをし、隣をみると、先ほどまで、ヒビ割れた画面で携帯ゲームに興じてた中年女子もメールで会社に報告中。すこしして再び彼女をチラ見すると、LINEに精を出していた。
顔を上げ、車内を見渡すと、皆が携帯画面を必死で操作しており、昔みたいに慌てて会社に電話するという人はゼロだった。
しばらくすると、
この電車は運転打ち切ります
と放送が流れたので、ことの大きさがわかり、皆でぞろぞろ降車した。私も歩いて出勤する、と会社へ電話した。構内のアナウンスはけたたましかった。
誰も何も喋らない。
まいったな今日プレゼンだよ、とか、誰かが何か喋っていてもおかしくない場面なのに、皆、無言。
これぞ、デジタル社会だよなあと、
何を考えているかわからない背中に少し心が冷たくなった。
だが、その一方でツイッターやフェイスブックでは活性化してるはずで、可視化しやすくなったといえば、わかりやすい社会になったのか。
もっとも私もその一人だよなあ、と思いながら、朝から考えさせられた。