お前がそう言うなら信じるよ

昨日の出来事。

いつもより遅いランチタイムになってしまったなーと思っていたら、
岩男さんがランチに誘ってくれた。

普段、私と仲の良い岩男さんだけど、一緒に食事だ、お茶だ、というのは案外ない。

「あ、いいですね、ぜひ♪」

ということで、二人で近くのカフェ風洋食屋さんへ出かけた。
カウンターにしようか、窓際にしようか迷った挙句、
陽の光が差し込む窓際を選び、向かい合うことにした。

店内にはサザンのメドレーが流れていて、湘南気分で私はカレーにパクついた。

目の前で岩男さんがあれやこれやと色々な話をしてくれた。
けど、私は今夏で解散するサザンのBGMに耳を傾け過ぎて、あまりよく覚えていない。
が、しかし、一つだけ気になる台詞が出てきた辺りから会話はよく覚えている。

岩男 「俺さ、あと何年生きるんだろ?まあさ、70ぐらいでぽっくり逝きてえな」

桜子 「今、お幾つなんですか?」

岩男 「今年で62」

桜子 「あと8年。いいんですか、それで」

岩男 「うん、いい」

桜子 「死んだら、どうなるって思っているんですか?」

岩男 「どうなるって、どーもこーもねえよ!なんにもねえよ」

桜子 「死んだら天国とか地獄とか・・・」

岩男 「俺、そんなこと考えたことねえよ。死んだら終わりよ。魂も消えるじゃねえか」

桜子 「ふーん。でも『死んでも生きる』て聖書に書いてありますよ。死は終わりではないって」

岩男 「天国ってどんなとこなんだよ?」

桜子 「『もはや死もなく、悲しみ、叫び、苦しみもない』所って。すべて過ぎ去ったから。
     天国で、お父様とお母様にお会い出来ますよ。そう思うと希望がわきません?」

岩男 「わかったよ。じゃあお前がそう言うなら信じるよ

桜子 「・・・」 

岩男 「天国でお父さんとお母さんに会えるって言われちゃあな、信じるよ」

その瞬間、涙腺がかなり緩みました。
 『ああ、このまま死んでもいいかなー』って、ちょっと思っちゃうほど、
岩男さんの素直さと言葉にじーんとしてしまいました。    by桜子