苦しいニュージーランド生活3

国境の長いトンネルを抜けると、天国であった。(※川端康成の『雪国』をパロって)


私たちは、「試練の長いトンネルを抜けた…」か、分からない。だがここは天国と見間違う。

羊40頭、ニワトリ5羽、犬1匹。
私たちを慰めて余りある大自然は、私たちの失った日々を取り戻すのに十分だった。


ここはオークランド郊外のAirbnbの家。
4日前、すべての荷物を車に乗せ、家を出た。

ずっと思っている。

私たち、呪われてなんか、いない。
すごく、神様に愛されている!
そうでなければ、こんなこと、どうして起こる?

昨日、娘の術後経過を見るために、クリニックへ行った。
すると看護婦が、娘の誕生日を聞いて目を輝かせ、
「あら、うちの娘と同じよ!あなた、きっと優しい子なのね」と言い、
娘の指が痛まないように、この上なく優しく、優しく、包帯を剝がしてくれた。

ああ、神様は、こうやって、人生をいつも彩ってくれる。
看護婦の子供が娘と言うことも、同じ誕生日、という偶然も、
日常のスパイスにしては、効き過ぎている!


そして、今滞在中の家は、「これは君の好みの家に違いない」と夫が懸命に見つけた。

Auckland,house

素晴らしい家だ。幸い、オーナーとも親しくなった。


だが、残念なことに、娘の学区から遠いため、私たちは2月1日には出ていく。
その先はどこで暮らす?

まだ、見つからない。
でもきっと見つかる。

新学期が始まる2月1日までは、ここで私たちの居場所だ。
すべての疲れが溶けて流れていく。

もう、部屋の中に閉じこもらなくていい。
朝からひそひそ声で喋らなくていい。
廊下に響く足音に怯えなくていい。

台所で好きな時に、好きな料理を作れる。
お皿を洗わずシンクに食器を置いてても、叱る人は誰もいない。
自分たちだけの空間が、これほどまでに愛おしいとは。

そういう喜びを、この年で知るとは思いもしなかった。

東京で当たり前のように暮らしていた日々こそ極上、と気づく。
人生の中盤で、これを知る。
同時に、ウクライナとロシアの生活に思いを馳せる。
ああ、彼らはいったいどんな日常を過ごしているのだろう。



by桜子

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