4月に行われたバイオリン発表会。わが娘の成長記録。
春、年度初めは職場も忙しい。営業部の決起会が行われる日と娘のバイオリン発表会が重なった。
当然(?)私は子の行事を選び、娘と昼食を急いでとると、初めての会場である久我山会館へ向かった。
午後、予定のリハーサル時間は押していた。前の人の練習が長引いて娘に時間はあまりなかった。
この日、彼女はピアノの先生と初めて顔を合わせ、共に弾いたが、合わないところもあった。
そのため、先生と相談し、ピアノの先生には本番で少し遅めに伴奏をしてもらおうと、大人だけで話し合った。が、それがまずかった。娘はそれを知らなかったし、親が含んで説明すべきだったと後で後悔した。
15時に会がスタートし、トップバッターの娘の課題曲は3曲。
1)ドイツ民謡ーーむすんでひらいて
2)J.S.バッハ作曲ーーメヌエット第1番
3)鈴木鎮一作曲ーーむきゅうどう
親は観客席で聞いてよい、ということだったので、舞台袖から移動しようとしたら行きそびれた。
やむなく、私は司会者のアナウンス終了後に娘の背中を押し、彼女を舞台へ送り出した。
が、そこで再び、私は失敗を犯した。娘のバイオリンを手渡ししてやるのを忘れた。
弓だけを持った彼女はトコトコ中央でお辞儀をした。
小さい子が、「あれ、バイオリン?!」ときょろきょろするのに、観客は微笑ましく笑ってくれたが
私は悪かった、と猛省した。それで始まった演奏は、結局途中でつかえてしまうという事態になった。
娘が突然、弓を止め、ピクリとも動かない。ピアノの先生が娘を覗き込むかのような表情を見せ
私も娘の背中しか見えず、彼女がどうしたのか、全く分からず、ヒヤリと汗をかく。
まだ4歳の子供だ。私の方を振り返って助けるかと思っていたが、彼女はそうしなかった。
しばらくすると、彼女は何事もなかったかのように弓をふたたび動かし始めた。
本番で100%の力を出せるかどうかは、親によるところが少なくない。
ホッとすると同時に、自分の不甲斐なさと申し訳なさでいっぱいになった。
この日はバイオリンの発表会といえど、私がいかにだらしない親であるかと言うことを知り、
本当にごめんなさい、という気持ちでいっぱいになった。