その39:三越 森玲治氏に聞く「三越がセカンドライフ進出を決めた理由」

2007年7月25日実施

mitsukoshi003.jpg
語り手:三越 森玲治氏  聞き手:桜子。

■7月19日、セカンドライフ上に三越がグランドオープンしましたね。
反響はいかがですか?

新聞、テレビ、雑誌の各社様からも大変多くのお問合せを頂戴し、あらためて、
反響の大きさに驚きと喜びを感じております。初日は、常時数十名のアバターが
ご来店され、夜中の2時になっても勢いが衰えませんでした。


■三越がセカンドライフ進出を決めた理由を教えてください。

そこにネットの「未来」を感じたからです。
 三越は、1996年に百貨店で一番早くホームページを開設し、2002年には同じく
百貨店で、初めて3キャリア全ての公式サイトになりました。何れの時も、インタ
ーネットというインフラを利用したその市場に、小売業にとっての将来的な魅力を
感じたからです。
 ホームページでのECは開設当初、年商300万円程度だったものが、10年後の今、
1,000倍の売上となりました。セカンドライフを始めとする「インターネットを利用
した3Dバーチャル」に対しても、10年スパンで計画し、今から種蒔きをしようと
考えました。

■検討し始めたのはいつ頃から?準備期間はどれぐらいかかりましたか。

2006年11月頃に、初めてセカンドライフを知りました。
 最初の情報源が何であったかは、残念ながら忘れました(笑)。
 昨年12月頃より、セカンドライフの代理店をしている各社--といっても当時は、
ほんの数社でしたので、その殆ど全てにアポを取り、お話を聞いていく中で、徐々
に弊社の代理店候補を絞り込んでいきました。
 2007年1月末からは、最終的に代理店をお願いすることになった会社にご協力頂き
ながら、部内調整や役員プレゼンを経て、同年4月末にGOが出ました。
 
 そこからオープン当日まで、製作が続きましたので、大凡7ヶ月位でしょうか。
同規模の同業他社には、なかなか真似の出来ないスピード感だと思います。

■10年後、仮想社会現象(参入者)は進んでいるとお考えですか。

「ユーザーが自らの意思で世界の造形をも左右する」という点と、
「RMT(Real Money Trade)の公式化」の2点において、
セカンドライフは仮想社会の新しい進化系を世の中に分かり易く示したと思います。
この2つの方向性の提示により、仮想社会への参加者は当面、増加し続けると思います。

■セカンドライフに期待することは何ですか?

 システム面では、「1SIM当たりの実質アクセス数の増加」が小売業者にとっての
重要項目だと思います。
 自らのSIMへの来場者が増えても、ストレス無くレスポンスが返ってきて欲しいのは、
万国共通かと(笑)
 ただし、この点に関しては、ユーザー側のPC性能の向上とNGN等による回線速度の
大幅な向上も、不可欠だと思います。
ビジュアル面に関しては、セカンドライフ内での「製作ツール」の使いやすさをもっと
上げて貰えると嬉しいですね。
mitsukoshi002.jpg

【桜子の、セカンドライフ・ココだけの裏話が知りたいっ!!】

■一人乗りエレベーターに3人載ってストップしたのを見たんですが(笑)

はい、1台のエレベータに大勢のアバターが同時に乗車されたため、
定員オーバーで動かなくなりました。今、修正方法を検討中です。

■セカンドライフからHPへの導線で物が売れたって本当ですか。
 何が売れたか教えてください。

売れた商品は言えませんが、これまでに数件の売上がありました。
今後、商品の見せ方等を工夫し、ショップとして成立する売上にしていきたいと考えています。

■社員は常駐しているんですか?三越の社員と一番会えるときはいつですか。
 会いたくなったらどうやって探したらいいか教えてもらえますか。

不定期に出没しています。ライオンの被り物をしている場合が多いです。
ただ、この被り物は一般ユーザーにも配布しているため、ユーザー側からは、
店員なのかアバターなのか見分けがつかなくなっており、調整の必要を感じています。
もっとわかりやすくするために、「ご案内係り」腕章等、ビジュアル面での工夫を計画していますので、
8月頃には、ニューバージョンのご案内係が(時々)出現すると思います。

■最後に、セカンドライフを通して、最近森さんが一番驚いたことや、
 感動した体験があれば教えてください。

初めて、3Dバーチャルに未来への方向性の一端を感じることが出来たということです。
これまではどうしても”ゲーム”の域を出ることが出来なかった、3Dバーチャルの世界が、
現実の世界とコンプレックス(融合)する時代の到来を予感します。

ありがとうございました。 m(__)m by 桜子